嘘つきプリンス 《片寄涼太》

Prince 49 ページ49

side 涼太









「涼太ってさ、有田さんみたいなのがぴったりだと思うよ？…初恋には」

「なっ…」

「涼太ってモテモテ過ぎた故にさ、彼女今までいたことないし？」

「うっ、」

「女慣れしてないからこその言動じゃん、有田さんの前では？」

「俺はっ…」

「ほんとにモテて、女慣れしてる人はあーんなThe王子みたいな感じじゃございませんよ？」






…確かに。

王子キャラは研究して作ったもの。

マンガだったり、ドラマだったり、

そういうのを見て演じるっていうのが1番わかりやすい。






「演技派王子」

「…ご最もです」

「まあそんな涼太の唯一素を出せる女の子が有田さんなんだし、そういう対象として見るのも悪くないんじゃない？」

「でも、さ、」

「ん？」






Aと約束した、

どっちかが好きになったらこの関係は終わり

というシステムを龍友くんに告げる。





「なんだそれ」

「俺が言ったんだよ。ほら、あくまでこれは偽物の関係。偽物の恋人。ね？」

「…それってもう好きってことじゃね？」

「は？」

「これは単なる俺の仮説でしかないけど、好きになったら終わりっていう約束を作ることで、本当に好きになるのをストップさせようとしてんじゃねえの？」

「…なわけないでしょ。龍友くん」

「この関係が終わりになったら有田さんを側にはおけない。だったら好きになんてならなければいいだけ。涼太の考えそうなことだよ。」

「…ごめんちょっと1人にさせて」

「わかった。リビングにいるから。」

「…ん」








龍友くんを部屋から追い出して、

ズルズルと床に座り込んだ。







「…わかんねえんだよ、俺も」





自分との葛藤が、止まらない。








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