嘘つきプリンス 《片寄涼太》

Prince 30 ページ30

side A









何だかなあ…


なかなか普通のカップルって感じに…

なってきてませんか…？



偽物なのは重々承知なんだけど、

正直今の状態がすっごく楽しいって思う自分がいる。




初彼氏に浮かれてた友達もこんな感じだったかな…



はあ…、素晴らしくちょろい私。






・









次の日の朝

玄関を出ると、すぐに視界に入るキラキラボーイ…

ならぬ片寄王子。



電柱柱に寄りかかってるだけなのに…

なんでこれだけで絵になるのかなあ。



私の存在には気づいてなくて、

普通に音楽を聞きながらスマホを見てる。




…これがねえ、



ふと私に気づいたのか、イヤホンを外す。








「おい」







ほら、豹変。








「おせえんだよ。早く自転車出せ。」

「…鬼。」

「あ？」

「なんでもないでーす。ちょっと待ってもらえます？」

「お前なんか今日強気な日？」

「…どうだか」







多分強気なんじゃなくて、

ただ単に素の片寄涼太に慣れただけ。







自転車を出すと、

私の速度に合わせてこいでくれる涼太くん。



…本当はもっとさっさと行きたいはずなのに。


やけにカレカノ設定に忠実なんだよなあ…。



よく分からないところで真面目を発揮。







「そういや地区大会俺出れるんだってさ」

「…おお、さすが」

「毎日努力して良かった」

「うん…おめでとう…」






風に吹かれる髪。


その中で爽やかな笑顔を見せる涼太くん。


そんな涼太くんはどうやら努力家らしい。

片寄涼太、侮ることなかれ。なんて。







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