全部、夢のせいにして ページ8
『やっちゃったー…』
とりあえずどうにか涙は引っ込んだものの、どう顔を合わせようか。
服を着てベッドの上で三角座りしているとドアが2回ノックされる。
｢入んぞ〜｣
ギュッと自分の膝を抱える力を強め、そこに顔を埋めた。
｢髪乾かせって｣
ベッドが軋んでお兄ちゃんが座ったのがわかる。
すぐにドライヤーの音が聞こえて髪を乾かしてくれる。
『なんでそんな彼氏みたいなことすんのいつも』
その声はドライヤーに流されて遠くへ飛んでいく。
｢なんか言った〜？｣
『言ってないよ』
この声も届いてるか分からなくて首を振る。
｢はい、乾きましたよーっ｣
お兄ちゃんの手が髪に触れ、梳かしてくる。
早くなる心臓の音。
カップルだったら、このまま甘い雰囲気になってあんなことやこんなことするんだろうな。
｢どした、こんな時間にシャワーなんて｣
『汗、かいた』
｢え、なんかやらしいんだけど｣
『…』
｢ごめんって｣
『嫌な夢見ただけだから』
｢…そっか｣
髪に触れていた手が私の頭を自分の胸に押し付ける。
とくん、とくんと聞こえるお兄ちゃんの心臓の音。
｢ごめんな。もっと早く、助けるべきだったな｣
『お兄ちゃんのせいじゃない』
｢今日も、一緒に寝るか？｣
『やだ』
｢うはっ！嫌なんかよ｣
『てかシャワー浴びてきて』
｢うわぁ、やっぱやらしい〜｣
『そんなんじゃないっ！』
｢なぁんでそんなご機嫌ななめなの？｣
さっきから微かに香るお兄ちゃんじゃない香水の匂いが気に入らないだけ。
でも彼女でもない私にそんなこと言えない。
『抱けないくせに…』
｢ん？｣
『私の裸見たって、なんとも思わないくせに！』
お兄ちゃんの腕から離れる。
予想より大きな声が出てしまって
でももう止められなくて。
お兄ちゃんはギョッとした顔。
ああ。
今日の私、変だ。
あんな夢見ちゃったせいだなきっと。
勝手に口から出てくる言葉は制御できないのに、心はどこか冷静に自分を分析していた。
｢抱けるよ｣
『うそばっかり』
｢抱けるよ、その気になれば｣
いつもみたいにふざけてる感じじゃなくて、すごく真剣な顔だった。
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涼-suzu-(プロフ) - 萌加さん» コメントありがとうございます。4周！！！めちゃくちゃ嬉しいいぃぃいいですぅぅぅう！！！他の作品も…ありがとうございます本当に…。これからもよろしくお願いします(*ˊᗜˋ*)/ (2022年4月3日 0時) (
レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
萌加(プロフ) - このお話大好き過ぎてもう4周くらいしちゃってます！何回読んでも死ぬ程キュンキュンしてます！！！素敵な小説ありがとうございます(*^^*)他の作品も大好きです！！！ (2022年4月2日 18時) (レス) @page47 id: 7084c2c2f0 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - ちぃさん» 読んでくださってありがとうございます。曲も聞いてくださったのですね…！いつでもふっかさんに会いに来てくださーいお待ちしてますよ(ふっかさんが) (2022年2月2日 22時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 急にすいません！物語全部読みました！すごく切ないし、途中から感情移入しながら読んでいました！この物語を読み終わったあと曲も聴いてみました！とても素敵な曲で物語ともリンクしていて書いている今も鳥肌が立っています！またここのふっかさんに会いにきます！笑 (2022年1月30日 2時) (レス) id: 3f5306abda (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - みきさん» ドキドキキュンキュンしていただけたならよかったです…。こちらこそありがとうございます本当に嬉しいです(´；ω；｀)いつでもここに来てふかざわさんに会いに来てください。笑 (2021年9月25日 11時) (レス) id: e1cb7f51d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涼-suzu-
| 作成日時：2021年3月6日 20時
