ヘリオトロープ

夏に、アオハル〜Side Story〜 ページ40

｢海行こうぜ！｣


阿部ちゃんと翔太、あともう1人の高校の同級生、佐久間大介と4人で飲みに来た日。


佐久間が突然言い出した。


｢えー、俺は仕事が忙しいから厳しいかも｣

｢翔太は大人気カリスマ美容師だからねぇ｣


佐久間がゆらゆらしながらしょぼんとした顔で言う。


｢俺も…｣


俺がそういうと佐久間がギョッとした顔でこちらを見る。


｢ふっかは行けるでしょ！？｣

｢いやぁ…｣

｢Aちゃんが心配？｣

｢え、ふっか彼女できたの？｣

｢ちげえわ妹だわ｣

｢あぁ、妹！あ、俺の妹も来るから呼べば？｣

｢佐久間妹来るの？じゃあいいじゃん仲良しでしょ？｣

｢え、そうなの？ふっかの妹と俺の妹仲良しなの？｣

｢うん、教室でいつも一緒に楽しそうだよ？｣

｢…聞いてみる｣


家に帰るとAも同じ日に海に行くと言われ、一緒に行く？という言葉は飲み込んだ。


お互い海に行くってことで一緒に水着を買いに行った。


まあ結局どんな水着か見せてもらえなくて、当日を迎えたわけだけども。


『あ、友達が家着いたって』

｢俺もー｣


一緒に家を出ると、止まっている車は1台。


｢｢おっちー！｣｣


佐久間と佐久間の妹らしき子が車から顔を出す。


｢佐久間｣

『愛澄花』


Aとバッと目が合った。


まさか、一緒に行くことになるなんて。


海に着いて水着に着替える。


Aと佐久間の妹を待っていて気になることが。


｢ラウール、くんだったけ｣

｢あ、はい｣


眩しい。


股下3mか？ってくらい長くてハイスペックすぎる。


｢お兄さん｣

｢いや、俺お前の兄貴じゃ｣

｢俺、負けません｣


宣戦布告に唖然としていると着替えてきたAたち。


｢かわいいね、水着。似合ってる｣

『…ありがと』


少し照れたように笑って、お兄ちゃんはかっこいい。だって。


俺の右手は彼女の手を掴み損ねて空中で迷子。


ラウールと走り出したA。


｢ふっか、頑張れ｣

｢阿部ちゃんが味方してくれるなら何にだって勝てそうな気がする｣


白ベースに薄紫の花柄のビキニを着たA。


傷跡は、大丈夫そう。


ラウールが一番近くでAの水着姿いっぱい見てんのが気に食わねぇなぁ。


まあ、でも


俺はその水着の中まで見てるし。


一緒に住んでるし。


負けねえよ、絶対。

分からない気持ち〜side Story〜→←救いの手〜Side Story〜

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す