図書館の内緒話 ページ12
ラウと約束した日曜日。
昨夜私が寝る時に帰ってきてなかったお兄ちゃんは部屋で爆睡してるっぽくて朝ごはんを作って家を出た。
夏の日差しで熱くなったサドルにそっと跨り思いっきりペダルを漕いだ。
私の家から自転車で15分程で着く図書館。
昨年の夏もここでラウとテスト勉強したなぁ。
「Aちゃ〜ん」
ちょっと離れたところに住んでいるラウは電車でここまで来る。
『ラウ!おはよーっ!』
「おはよ。あっついねぇ〜」
『ほんと、早く中入ってとりあえず涼もう』
「そうだね」
本当は愛澄花も呼びたいんだけれど何せうるさい。
勉強となると集中力が続かない。
のと、彼女はめちゃめちゃ夜型人間で休みの日に日中連絡を取れたのは遊ぶ約束をした時くらい。
明日からテストだけど、大丈夫かな。
なんて人の心配をしている余裕はない。
ここの図書館は勉強スペースがあって、数学の得意なラウに分からないところを教えてもらいながらテスト勉強を進めていく。
「ねえ一昨日大丈夫だった?」
一旦お昼休憩のためにすぐ近くにあるファミレスに入る。
『全然大丈夫』
一昨日とは、お兄ちゃんが学校に迎えに来た日のことである。
「全然ブサカワじゃないじゃん。お兄さん」
『でもさあ』
「うん、あのキツネには似てた」
『でしょ!?』
「あの人がAちゃんの好きな人か」
『うん』
「彼女いるか聞けたとかなんか進展はあった?」
『…ないよ』
抱かれましたなんて口が裂けても言えない。
嫌いになるためだったのに結果、もっと好きになってもっとほしくなっちゃったし。
そんなことできるなら好きって言いなよってラウなら言いそうだなぁ。
「そっかぁ」
そこからたわいもない話をして図書館に戻り、集中して勉強すればあっという間に17時を過ぎる。
「よし、あとは家で頑張ろ」
『うん』
「Aちゃん、ファミレスで言うタイミング逃しちゃったんだけど」
ちょいちょいと手招きをして私の腕を持つと口を私の耳に寄せた。
「俺、好きな子いるんだ」
『え』
急なカミングアウトにびっくりしてラウを見ると至近距離で目が合う。
『上手くいくといいね』
「どうやらその子、好きな人がいるみたいでさ」
『そうなんだ…』
「振り向いてもらえるように頑張るよ」
『応援してる』
距離はそのままにラウは口元に人差し指を当てた。
「これ、2人の秘密ね」
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涼-suzu-(プロフ) - 萌加さん» コメントありがとうございます。4周!!!めちゃくちゃ嬉しいいぃぃいいですぅぅぅう!!!他の作品も…ありがとうございます本当に…。これからもよろしくお願いします(*ˊᗜˋ*)/ (2022年4月3日 0時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
萌加(プロフ) - このお話大好き過ぎてもう4周くらいしちゃってます!何回読んでも死ぬ程キュンキュンしてます!!!素敵な小説ありがとうございます(*^^*)他の作品も大好きです!!! (2022年4月2日 18時) (レス) @page47 id: 7084c2c2f0 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - ちぃさん» 読んでくださってありがとうございます。曲も聞いてくださったのですね…!いつでもふっかさんに会いに来てくださーいお待ちしてますよ(ふっかさんが) (2022年2月2日 22時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 急にすいません!物語全部読みました!すごく切ないし、途中から感情移入しながら読んでいました!この物語を読み終わったあと曲も聴いてみました!とても素敵な曲で物語ともリンクしていて書いている今も鳥肌が立っています!またここのふっかさんに会いにきます!笑 (2022年1月30日 2時) (レス) id: 3f5306abda (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - みきさん» ドキドキキュンキュンしていただけたならよかったです…。こちらこそありがとうございます本当に嬉しいです(´;ω;`)いつでもここに来てふかざわさんに会いに来てください。笑 (2021年9月25日 11時) (レス) id: e1cb7f51d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2021年3月6日 20時