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自転車に乗って、まだ暑さの残る9月の坂道を全力で登るためにサドルからおしりをあげる。
「あ"っ!」
その瞬間激しい音と共にペダルが軽くなって自転車から降りた。
「チェーン外れた…。しんど」
こういうのを直すのは苦手で、いつも佐久間や照に頼んでしまう。
押してこの坂道を登らなきゃいけないのか。
「はぁ…」
ため息をついてヘナヘナとしゃがみこむ。
どうにかこの坂を登らずに帰れる方法とか、もういっその事この自転車捨てて帰ろうかとか。
今の一瞬で体の中に溜まったストレスをぶつぶつと吐き出していく。
「よし、帰るか」
毒素を吐ききったところで立ち上がる。
「だぁ!?」
「っ!?」
なのに目の前に人が立っていて驚いて尻もちをついてしまった。
「びっくりした…って、昨日の」
「…ども」
昨夜から今までモヤモヤしていた原因の人だった。
持ち運び用のケージをしっかりと腕に抱えて、中には小さな黒猫。
「それ、壊れたの?」
「え、?」
「自転車」
「あぁ、チェーン外れてさ。俺こういうの直せないから友達に頼みに行こうと思って」
「…来て」
彼女はひとことそう言って坂道の右にある小道を歩き始めた。
初めて通る道でキョロキョロしながらも自転車を押しながら彼女についていく。
しばらくすると見覚えのある場所にたどり着いた。
「ここ、は…」
住んでいるアパートの近くにある小さな整備工場。
あの坂道をのぼらなくても帰れる道があったなんて。
「私のバイト先」
猫の入ったケージを差し出されて反射的に受け取った。
建物の中へと消えていく彼女の背中から、手元にあるケージへと視線を移す。
その重みとケージ越しに伝わるほんのりとしたあたたかさに一生懸命生きているんだなと安堵した。
ふと子猫と目が合って、綺麗なオッドアイをしていることに気がついた。
「青と黄色…」
いつだったか俺の想い人は、青と黄色が混ざったら紫になるなんてよくわからないことを言っていたのを思い出した。
どう考えたって緑だし、しばらくはよく理解できなかったけれどあの子をふっかの元へ戻した時になんとなくわかった。
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涼-suzu-(プロフ) - 白昼夢さん» はじめまして。コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです。こちらこそこれからも涼さんの作品を愛してあげてくださいませ( ˶'ᵕ'˶ ) (2023年3月31日 15時) (
レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢(プロフ) - 初めまして！新作待ってました（ ; ; ）ずっと陰ながら応援させていただいて、、凉さんの作品全部読み漁るほど大好きなんです(´༎ຶོρ༎ຶོ`これからも素晴らしい作品お待ちしてます！頑張ってください！！！ (2023年3月31日 0時) (レス) id: 40e11ba78b (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - 茉子さん» 泣かせてしまってごめんなさい(´；ω；｀)いつも私の作品を読んでくださってありがとうございます。私も大好きです！ (2023年3月28日 23時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - シラユキ。さん» ツンデレとツンデレのコラボ(？)です！幸せにするんで一生ついてきてください(もはやプロポーズ) (2023年3月28日 23時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
茉子(プロフ) - 泣いたんですが😭子どもへの気持ち分かるだけに…続きも楽しみです。涼さんの作品全部読んでます☆大好きです😊 (2023年3月28日 18時) (レス) @page24 id: 0c861b61c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涼-suzu-
| 作成日時：2023年3月26日 15時
