Last Story〜Shota.W〜 ページ38
ここ、どこだろう。
まっ白な世界に立ち尽くす。
ふと名前を呼ばれた気がして前を向くと女性が数十メートル先に立っていた。
『…母上？』
にこりと微笑み近づこうとすると手で制される。
「あなたはそれ以上進んではいけません」
そう言って私の前まで歩いてくる。
「大きくなったね、A」
『もう半年したら18になるよ』
「そっかあ。大人になるのね。早いなぁ。パパは元気？」
『フラムの国王に誘拐されたけど、取り戻したんだ』
「ちゃんと見てた。ありがとう。パパとネージュを守ってくれて」
触れることができないのか私に手を伸ばし、途中で引っ込める。
「あなたはまだこっちに来るには早すぎる」
『こっち…？』
「あなたの大好きな人が待ってるから戻らなきゃ、ね？」
真っ先に浮かぶのは彼の顔。
「あら？パパのこと言ったつもりだったけど…他の人が浮かんじゃった？顔赤くなってる」
『え？え！？いや別にそんなんじゃっ』
「恋することは大事よ。ちゃんと幸せにしてもらって、幸せにしてあげて。そしてそばにいてあげて」
『…はい』
「大丈夫よ。きっと上手くいく。さあ、早く戻りなさい」
『母上』
「ん？」
『命がけで、私を産んでくれてありがとう。大好きだよ』
「私も、ずっと愛してるわ。パパにも伝えておいて」
『分かった』
「じゃあ、またね」
急に眩しい光に包まれて目を開けると見慣れた部屋。
体を動かそうとしても動かない。
目だけで今の状況を確認しようと左手が温かいことに気づいた。
『しょ、た』
声も全然出なくて、だけど私の手を握ってベッドの淵に突っ伏してる翔太には聞こえたらしくゆっくりと顔を上げる。
「…え」
私と目が合うと目を大きく見開く。
『目、こぼれそう、だよ』
「夢じゃない、よな」
『おはよ』
笑えてるか分からないけど笑ってるつもり。
翔太はグッと眉間にシワを寄せ私から離れて背中を向けた。
『しょー、た？』
「…ん？」
『泣いてるの？』
「泣いてねーよ」
嘘つき。
鼻グズグズいわせて。
さっきまで翔太が握ってくれていた手を必死に動かして白衣を掴んだ。
「どした？痛いか？」
びっくりしたのか涙をそのままに私を振り返りしゃがみこむ。
『やっ、と、顔、見れた』
「ばかっ。無茶しやがって」
再び手を握って自分の頬に擦り寄せた。
「よかった、まじで」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 433人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「SnowMan」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
涼-suzu-(プロフ) - むむさん» こちらにもありがとうございます。デビュー作のため今よりも拙い部分が多いと思いますがそう言っていただけて光栄です。こちらこそありがとうございます。 (2022年5月21日 14時) (
レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
むむ - 作者様の書かれる作品が全て好きです！！父上のために命を懸けて戦う姫と、いろんな過去がありながら一つの目的のために戦う9人がかっこよくて仕方なかったです！素敵な作品をありがとうございます (2022年5月21日 10時) (レス) @page32 id: e8dca0b64d (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - あやかぽん。さん» こちらも読んでくださったのですね！ありがとうございます。そういう風に言っていただけて本当に書いた甲斐がありました。その虚妄は…ぜひ、お聞かせください(ｷﾗｼ) (2021年9月18日 15時) (レス) id: e1cb7f51d3 (このIDを非表示/違反報告)
あやかぽん。(プロフ) - 面白かったー！！！埋もれてしまっているのが勿体ない。。もっと色んな人がここにたどり着いてくれたらいいのに…。。結婚したあとも気になって虚妄が止まりません(止めて) (2021年9月18日 9時) (レス) id: 2ac8db89d5 (このIDを非表示/違反報告)
美紀(プロフ) - SnowMan大好きです亮平君と翔太君と涼太君寄りのオール担当です最高です更新大変だと思います頑張ってください応援してますコロナウイルスに気をつけてくださいね (2021年3月1日 16時) (レス) id: e19dcb272d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：涼-suzu-
| 作成日時：2021年2月25日 16時
