レンタル彼氏！？

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目的地である動物園には平日ということもあってかお客さんはそこまでいない。

入園チケットを買いに券売機へ行こうとすれば蓮に制されてしまった。


「俺が誘ったんで、ここで待っててください」

「…」

「待っててください」

「ふふ、わかりました」


絶対動いちゃダメですよと念を押される。

そこまで離れた距離に行くわけじゃないし、私どんだけ信用されてないの?

券売機へ向かう蓮の背中をボーッと見つめながら少し笑ってしまう。

戻ってきた彼と中へ入れば、目をキラキラさせて少年のようになった。


「…すげ、」

「蓮って動物好きなんだね」

「かわいいじゃん。癒されるし。次引っ越す時はペット可のところに住むって決めてます」

「なに飼いたいの?」

「犬」


動物園に入ってすぐの触れ合い広場の前で子ヤギに餌を与えながらそう答える蓮の表情を見て、年下らしいところもあるじゃんなんて思った。


「お前お腹すいてんのか。ほら」


とうとう子ヤギに話しかけ始めたし。


「Aさん見てくださいよ、こいつめっちゃかわいいんすよ」

「蓮のこと好きなのかもよ?」


すぐに空っぽになった餌の入ったカップを捨てに行く時も子ヤギがずっと蓮と並走している。

蓮はそれが嬉しいみたいで右行って左行って、とまだ入ったばかりなのにすでに長時間楽しんでいた。

そのあともあちこち歩き回ってたくさんの動物と触れ合って、いつもよりたくさんしゃべる蓮を見るのは初めてだった。

バーテンダーしてる時のあの感じからは想像できないなこれは。

ギャップというやつだろうか。


「うおー!めっちゃ寄ってきた!やべぇ!」


なんていうか…うーん…。


「かわいい…」

「かわいいっすよね、この子」

「あ、うん」


かわいいのは蓮のことなんだけど、まあいっか。

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