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ついに文化祭当日。
私と麗奈は最初、呼び込み係に任命されてチラシを持って中庭のベンチに座る。
ちなみに凛はたこ焼きを作る係。
言っておくが、サボっているわけではない。
時間が来るまで待機しているだけ。
「ねえ、なんか今朝さぁ康二とA気まずそうだったね?」
お互い、ぎこちない挨拶をしてしまったことは自覚がある。
「そ、そう?」
「昨日まで普通だったのに…。なんかあったのー?」
「いや…?」
「あー!友達に隠し事はいけないんだ!」
「その言い方はずるいって…」
「なになに?何があったの?聞かせて?」
ジッと見つめてくる麗奈に根負けして白状することにした。
「昨日ね、放課後に康二くんと金木犀がたくさんある神社に行ったんだけど…」
「あー、昨日の朝行ったって言ってた神社?」
「うん」
「んでんで?」
「その…抱きしめられ、ちゃっ、た」
「なんだそんな…」
「…」
「え?抱きしめられた?」
「…うん」
「まじでー!?!?」
「ちょっと麗奈っ!シーッ」
「康二やるじゃん」
いつものようにキャハキャハ笑う麗奈。
笑い事じゃないんだよー…。
「ドキドキした?」
「う、うん」
「いい匂いした?」
「…うん」
「うわぁ!いいなぁっ!」
「でも、なんで抱きしめてきたのか、わかんなくて」
「…わかんないの?」
「え、麗奈はわかるの?」
「んー、なんとなく」
「…抱きしめられてないのに?」
「あはは!Aかーわいいなぁー」
グリグリと頭を撫で回される。
「ねえ、頭ぐしゃぐしゃにっ」
「あ、いいこと思いついちゃった」
ちょっと来て、と手を引っ張ってどこかへ行く麗奈。
もうすぐ呼び込みの時間…だよ?
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作者名：涼-suzu-
| 作成日時：2021年10月4日 6時
