Sweet Sunny! (ページ18)

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「こんなとこあんねや」

「ちょっと小道だから分かりにくいんだけどね」

文化祭の準備が全て終わって解散後、康二くんと今朝来た神社に歩いてきた。

「ほんま、めっちゃいい匂い」

「休みの日にね、いい天気の時はお散歩するんだけどその時に見つけたの」

「1人で?」

「…うん。友達、いなかったから」

今笑えるのも、過去形にできるのは向井くんのおかげだよ。

「今度から俺と2人で散歩しよや」

「え」

「東京のこともっと知りたいし散歩好きやねん。カメラ持ってさ、Aちゃんとなら…いい写真撮れそうな気ぃすんねん」

「…んじゃあ、今度は一緒に」

「約束やで」

なんて言うけどその今度を誘えるまで時間かかりそうだなぁ。

だって、2人だと…デートみたいじゃん。

ふと優しい風が吹いて、康二くんの頭の上に金木犀の花が落ちる。

「ついてる」

今朝とは立場逆転して私が康二くんの頭から花を取って見せる。

「ほら」

康二くんが私の手をグッと引き寄せた。

と同時に感じるのは康二くんの温もりとおひさまのような香り。

今、私…もしかしてもしかしなくても…康二くんから抱きしめられてる?

「…康二くん?」

「ごめんっ」

ガバッと体を離すと私と距離を取る。

「明日は朝から頑張らなやしそろそろ帰ろかな!じゃあ俺、駅の方行くからまた明日な!」

「…あっ」

なんで私のこと、抱きしめたりしたの?

友達なら誰にでもそういうことするの?

気になることを聞けないまま康二くんは行ってしまった。

「…私も駅の方、なのに」

モヤモヤ考えながら1人、トボトボと駅まで歩いた。