太陽と天道虫とひまわりと...(arxcn)

＝天まで・４＝ ページ4

「もぅ、僕行ってくるっ
　もぅっ。。」

ぷい―――っ。って玄関でくるりと踵を返し

家を出る＿＿＿。



背中に・・

「気を付けて〜〜」と、光の声と

「やめてっ。って言えよ〜。」の宏太の

優しい声を聞いて、安心して駅に向かった。


＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿



僕は、人の話し声が嫌いだ。

ヒソヒソ、ヒソヒソ。

コソコソ、コソコソ。

嫌な音に聞こえるから。



その音を聞くと、体が強張って動けなくなる。



だから僕は、入学祝に宏太がくれた

ピンク色のヘッドフォンをして音楽を聴く。


聴くのは、クラッシックが主。

人が歌ってる曲は聴かない。

だって、人の声が怖いから＿＿＿＿。



僕は音楽を聴いて、そして大好きな本を読む。

この世界と僕は、別れる。

人との世界を遮断して、僕は１人。たった１人になる。



僕は１人の時、何も見ない。何も聞かない。

何もない＿＿＿。そんな世界にするんだ。



自分の世界には、宏太と光さえ居てくれたら

それでいい。じゅーぶん。

・・あ。そーだ、涼介先生もいれたげよ〜。



あ、そうそう＿＿唯一、人が歌ってる曲を聴けるのは

宏太の子守歌と〜・・あと涼介先生の歌。



僕が保健室で、黙々と勉強をしてると

聴こえてくるの＿＿＿相手して欲しそうな涼介先生がね

僕を、ちらちら見ながら、鼻歌を歌い出す。

綺麗なハミング。

とても綺麗な音、いい音色＿＿＿＿。



＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿



少し混雑しているホームを歩き、いつもの柱の横で

電車を待つ。



電車が来るまで、黙々と本を読む＿＿＿＿。




綺麗なピアノの音色と本の世界に

ブォ〜〜〜って強い風が巻き起こって

電車がホームに滑り込んでくる。



勢い良く開いたドアから、ドヤドヤと人が降り

僕の並んでいた前の人達が、ドヤドヤと電車の中に

収まって行く。




・・・うー。。何だか今日は、混んでるなぁ。

なんて心の中で思いながら、車内の端っこを陣取り

また黙々と本を読む。



＿＿電車の中の１５分間が嫌いだ。




早く降りたくてしかたない。

でも、僕は大丈夫。大丈夫。

学校に着けば、涼介先生も居るし

穏やかな時間が流れる、保健室がある。


少し＿＿少しの我慢。


「ふぅ・・。」


緊張＿＿少しの緊張。

月曜日の朝はいつもそう。

だから光も宏太も心配して、

でも明るく元気に見送ってくれる。


お休みがあけての１日目は・・緊張してしまう。

入学して２ヶ月、そろそろ慣れたいなぁ・・

「ふぅ・・・」

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