【呪術廻戦】高専肉食系男子多い説を男子が証明しようと思います

肉食系×参拾捌 ページ39

「〜♪」


寮内、一室。

ゆったりとしたリズムの曲を鼻で唄うのは、葛葉A。


なにかの動物を一筆書きさせたようなアクセサリーを首にかけながら、ぬいぐるみを片手に、ペンのキャップを開けた。


「名前か〜…う〜ん……」


とんとん。と顎にペンを2度ほど押し付けた後、次はペン先を近くにある付箋に押し込んだ。

あるひとりの、男の名前を殴り書きして、兎と見比べる


「次は……」


一瞬視線を泳がし、何かを思い出そうとするA。


何を悩んでいるのかと問いかける暇もなく

ビリィ。と、Aは手に持っていた縫いぐるみの腹を破った


「意外とヤワだな〜、」


爛々と、そして気楽に、呟きながら腹面を下にして、縫いぐるみの背中を叩く

中から血のように溢れ出る綿の数々。


足元を覆い尽くすそれに満足気に微笑みながら、Aはポケットから雑に一掴みの米を取り出して、中に詰める


そして、自分の指を、自慢の八重歯で

食いちぎった


食いちぎるといっても、少し破る、穴を開ける、なんて表現が合うだろうか。

滴る血が空になった縫いぐるみの腹に垂れていき、米が、灰色の体が紅に染まっていく


にやりとひと笑い。そして、次に手をかけたのは首筋のボディーステッチ。


戻したばかりのそれをまた解きながら、近くのテーブルから針を出し、破った部分を縫っていく

余った部分を縫いぐるみの体に巻き付けて、準備は完成。


ちくちくと一定に鳴る時計を鼻歌交じりで見つめながら、手元の縫いぐるみと＿＿を見つめる。


三。 短針がかちりと動き、長針と巡り会う


「最初の鬼はAだから。
最初の鬼はAだから。
最初の鬼はAだから。」


重たくなった縫いぐるみを手に、向かうは風呂場。

縫いぐるみを水を張った風呂桶に入れ、そのまま放置。

ブレーカー室で寮内の電気を消してあることを確認し、自分の部屋に戻り、部屋の電気を消す


どこからが持ってきたテレビをつけて、チャンネルを変えるとちょうどいい砂嵐。


優雅に口を鳴らしながら、目を閉じる

ぱさりと、暗闇にそつかない白い睫毛を揺らした


拾玖捌漆陸伍肆参弐壱。


目を開ける。

そして、衣嚢に手をかけた。


取り出したのは、一本の刃物

するりと刃先についていたカバーを外しながら、また風呂場への道を辿る


到着した直後。

先程まで好奇心と娯楽に溢れていたAの目が瞬く間に変わり、ゆっくり口を開いた



「さとる、見ぃつけた」

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