不倶戴天候補 ページ3
ガタン、先輩に頼まれた飲み物を自販機から取り出す。日陰といえど、東京の夏は暑い。
「自販機、もうちょい増やしてくんないかしら」
「無理だろ。入れる業者も限られてるしな」
「流石、呪術専門校」
知らない人から見たら、変な高校なんだろうな。先輩の所へ帰ろうと踏み出そうとした体は止まる、二人の影。顔に傷のあるガタイのいい男と、真希先輩に似ている女の人。伏黒によると、双子らしい。確かに、納得。
「あなた達が心配で学長について来ちゃった。同級生が死んだんでしょ?辛かった?」
当たり前だけど、誰も悠仁が生きてるって知らない。早く帰ってきてくれ、悠仁。本当にいつか口を滑らす気がする。てか、この人全然心配してないな。すっごい見下されてる気がする。まあ、どうでもいい。旦那様以外になんと思われようと構わない。イラつくだけ時間の無駄だ。
「それともそうでもなかった?」
「何が言いたいんですか」
「良いのよ、言いづらい事ってあるわよね。代わりに言ってあげる。器なんて聞こえはいいけど要は半分呪いの化け物でしょ?そんな穢らわしい人外が隣で不躾に呪術師を名乗って虫唾が走っていたのよね。死んで清々したんじゃない?」
「は?」
思わず飛び出した体を伏黒が取り押さえた。なんで、なんで止めるの?アイツに悠仁を侮辱された。それは、許せない。
「こわぁい」
「私は、悠仁が死んで良かったなんて思った事はない」
「へぇ、随分仲良しさんなのね……、!」
チッ避けられた。呪力で作り出したナイフは顔のスレスレ、当たらなかった。殺す、いや、半殺しにする。さっきの言葉を撤回するまでやめない。
「アンタ、その術式…」
「ハハハ、血の気の多い一年だな」
男は、私を羽交い締めにしたままの伏黒に問いかける。伏黒の答えは、揺るがない人間性。伏黒らしい答えだ。まあ、私はあんまり伏黒の事は知らないけど。ちなみに、私のタイプは旦那様、それ以外は不可。
飛んでいく伏黒と男。激しいバトルだ。向こうがし始めたのなら、私もこの女に攻撃しても良いいって事か。呪力でナイフを作る。
煽る野薔薇。いいぞそのまま意識を引きつけておいて、その間に攻撃するから。
「ねぇアンタ」
「何」
「アンタ、もしかして紗南さんの親族?」
「……娘」
「え、娘!?」
言う人言う人みんなこんなリアクションだ。私が娘で何がおかしい。
「可哀想ね、あの人の娘なのにこんなに弱いなんて」
……この人、あの青目くらい嫌いだわ。
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lala - 宿儺と夢主との愛がもうなんというか美しすぎてほんとに好きです……歪んだ愛そのものを表しているかのよう…そして何より文の作り方がお上手でとても読みやすかったです。更新楽しみにしております。無理はなさらないよう頑張ってください! (2022年1月24日 2時) (レス) @page48 id: d69b352aad (このIDを非表示/違反報告)
ジョリ - 2人の愛とか、夢主ちゃんの思いやりとかで泣きそうになりました。更新楽しみにしています(╹◡╹)無理の無いように頑張って下さい(*´꒳`*) (2022年1月9日 20時) (レス) @page48 id: aa78d32f78 (このIDを非表示/違反報告)
優月(プロフ) - この作品とても大好きです (2022年1月9日 18時) (レス) id: 2ec0497ee9 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 83EPHNUQX3O3FI8さん» コメントありがとうございます。不快な思いをさせてしまっていたら申し訳ありません。直ぐに修正します。 (2021年12月19日 13時) (レス) @page40 id: 125efbe70f (このIDを非表示/違反報告)
83EPHNUQX3O3FI8(プロフ) - この小説で宿儺の株が上がりました。あと、未亡人って差別用語だと思います。 (2021年12月19日 2時) (レス) @page48 id: 5b2f0bd76c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2021年1月17日 16時