歌.い手引退宣言出来ない件(白目)【歌.い手】

＊31話 ページ31

「さ、さっき言ってたのはね……」



うんうん、と耳を傾けるも、なかなか彼方さんは続きを言おうとはしない。

何故、と思い彼方さんを見ると、
私の後ろ側……部屋の入口の方を見ていた。

彼方さんにつられ、私も後ろを振り返る。

そこには、何故か、少し開いたドア。



まさか……

『くろちゃん？』


思わずつぶやくと、案の定、スマホを片手にしたくろちゃんがひょこっと顔を出した。

「へへ、バレたか！
まふちゃんもおるよ〜」

そう言って現れたのは少しバツが悪そうな顔をした真冬さん。




ん？ま、さ、か……

『さっきの……聞いてた……？』


私が思わず聞くと、くろちゃんは笑顔で、もち！と言った。


「それだけじゃないぞ！ちゃんと録画もした！」


『え、今すぐ消して!!』

ほぼ涙目であろう私にくろちゃんはへへ、と笑う。

「もう遅いぞ、しぃ。
わしがそらるんとまふちゃんのLINEに送っちゃった！」

『…意地悪。』

頬をプクー、と膨らませる

黒歴史だよ…絶対……


「あ、僕達は気にせずに話の続きしてもらって構いませんよ、僕達は見学しとくから。」


えぇ…

＊32話→←＊30話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す