検索窓
今日:4 hit、昨日:31 hit、合計:6,858 hit

ページ6

「お恥ずかしながら、生まれてこの方友達はペットの亀しかいなかったものですし、恋などもしたことはさっぱりありませなんだ…で、ですから、こうも大きな気持ちを想い想われされて、驚いてしまいました。」

「見事な桜でございます。…かつて、桜の樹の下には屍体が埋まっている、と宣った物書きがおりまして。人の血を吸いあげて桜が美しく咲くのなら、僕の死体は桜の木の元に埋めていただけると嬉しいです。…おやお怖い顔をなさる、そんなお顔も素敵ですよ」

「僕の知らないものばかりをあなた様はお持ちなのですから、なんだかずるいです。…ふふ、だからこそあなた様のお側に居たいと思うのです、そうでしょう?」

「あなた様のところにいれば、僕ができないこともできるようにしてくれるような気がして、期待してしまうのです。僕に踊りを教えてくださいませんか?お餅つきもしてみたいのですが、あなた様のそばならできたり、しませんか?海には連れて行ってくださいますか?飲めなくなるまでお酒を飲んで、花と話を咲かせたりはできませんか?」

「昨晩は申し訳ありません、酒が入って興奮してしまって、要らぬことまで口走っていたら恥ずかしい限りです…。ほとんど他者に話したことの無い気持ちなものですから、忘れていただければ、と…」

「……うう…僕、どうなってしまうのだろう…これはなんなんだ、むかむかする…心臓が…あの方のことを考えると胸焼けを起こすなんて…」

「いいえ、…いいえ、おやめにならないでくださいませ、あなた様の思うままにして欲しいのです」

「どうか、その…あなた様さえよろしければ、おそばに、居させてください…僕を、恋女房にして頂きたいのです…」

「この世界に来てはじめの頃は、どなたかに喰われて死んでしまうのだろうかと思っていたのです。ええ、そんなことはないと今ならば言えますが…それでも僕は、いまでも、あなた様になら、丸呑みにされても構わないと思っていますよ」

「たとえ果てが地獄であろうとも、あなた様がお望みならばどこまでも。萼はお側に居させていただきます。」

◈→←◈



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1人がお気に入り
設定タグ:月迷 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:佐藤める | 作成日時:2023年4月15日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。