来訪 ページ14
そんな事を考えているとコンコン、と医務室のドアが鳴った。
硝子がどうぞー、と言うとその音の主は失礼するよ、と言って中に入ってきた。
「や。Aも硝子も元気そうでなによりだよ」
「私はともかくAは元気っていうのか?」
『元気ー! 元気だよー!』
そうか、それは良かったと微かに笑みを浮かべながらこちらに向かってきたのはもう一人の同期、夏油傑だった。
私の事を聞いてここに来たのだろう。
それか五条から聞いたのか。まぁ二つに一つだろう。
「それにしても君がここまでやられるとはね。正直私も驚いたよ」
『硝子とおんなじこと言ってる…だから、敵が相当強かったの! 私もここまでやられるとは思ってなかったよホント』
「なるほど。…で、どんな敵だったんだい?」
『同じ事二回も説明するのは嫌いだからとりあえずワンちゃんが強かったって言っておく』
「は??」
私の応答に目を点にする夏油。瞬時にどういうことだ、と硝子の方に目線を送ると、やれやれ…とため息を吐きながら硝子は私が話したことを夏油に説明し始めた。
それを聞いていた夏油だったが、途中までは頷きながら話を聞いていたのに対し、時間が経つにつれだんだん思案気な顔つきになっていった。
なにか納得のいかないことでもあったのかなと私が心の中で考えていると、話を聞き終わった夏油は「A」と言って、私に話を切り出してきた。
「硝子から話を聞いて納得がいったがなるほど、任務先は比叡山だったのか」
『うん。だから特級に値する呪霊とかが出ても疑問はないでしょ?』
「そうだね。…だけど、話を聞いて何個か疑問に思うところはある。…まず、学長が言っていた神隠しという件については任務先に行ってどう思ったんだい?」
『え? んー…多分、神隠しとかそういうのではないような気がしたかなぁ。あと次々と呪術師が消えていったのはそのワンちゃんに喰われたか跡形もなく消されたかのどっちかだと思う。血痕とか血の匂いがしなかったから多分後者が正しいかな』
「血痕はなし、か…なるほど。で、どうしてそんなにやられた?」
『へ?』
やられたって…この怪我のこと?
そんなのもちろん…というかさっきも言ったような気がするけど、
『いやだからそのワンちゃんが強かったからだって』
「じゃあ、どうして悟が数分で倒せたんだ?」
『…え?』
その言葉を聞いた瞬間、時が止まったような感覚がした。
110人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:すば | 作成日時:2022年11月20日 20時