第五十五語 もう一人のアミエリタ ページ5
「・・・ねぇ自分が何をしたのか、わかっている？」
「え？」
「なにをしたのかわかっているのって、聞いているんだけど」
それはアミエリタの姿をしたナニカだった
彼女らしくない深い怒りを宿した声
鮮やかなオレンジ色の瞳ではなく深い闇を宿したような漆黒の瞳で睨まれる
「だれ・・・？」
「アミエリタ」
「違う、あなたはアミタじゃない。誰なの？アミタを返して！」
「無理よ。私はアミエリタだもの。アミエリタに収まっていたモノ。アミエリタの本体、アミエリタ自身。だから私もアミエリタ。もう一度聞くわ。あなた、自分がなにをしてしまったのかわかっているの？」
「知らない」
「あなたの身勝手な行動でアミエリタまで影響が出た。あの子が願わなかったら私は現れなかった」
「身勝手なことじゃない。そうしないと私はお城を守れなかった。ローレンヌ様をお守りすることはできなかった！」
「いいえ、他に方法はあったわ。あなたのせいで御子まで危険にさらされた。ローレンヌが出てこなければ私も出てこなかった」
「・・・あなた、嫌い・・・」
自分が最善だと思っていたことを目の前のアミエリタの形をしたナニカに否定していく
「えぇ、私もあなたが嫌いよ。いつもいつもユーグスタクトは身勝手。セイラもあなたも本当、自分勝手ね」
「ママは身勝手じゃない！」
「違う。セイラは許されないことをした。ユーグスタクトを、アミエリタを、世界を、ローレンヌを否定した。自分の願いを叶えるために全てを否定した」
「違う！ママはそんなことしない！」
「いいえ。したからあなたがここにいる。ユーグスタクトの本当の役目を忘れてしまったあなたがここにいる」
「・・・ユーグスタクトの、役目・・・？ローレンヌ様をお守りするのが、ユーグスタクトの役目じゃないの？」
自分が信じていたことが否定され困惑するアストリッド
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作者名：ストゥアート | 作成日時：2017年6月24日 22時
