いつか黄金の世界で２ (ページ30)

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第八十話　変化ページ30

アレックスはセイラを街に連れ出し、人間について色々語るようになった。その様子はセイラが人間ではないとわかりきっているようだったしかしアレックスは大好きな友達としてセイラと接している
そんなアレックスのせいなのかセイラの様子が少しずつ変わりだした。
少しずつ笑うようになり、そして自分からアレックスを連れ出すこともあった。

変わっていく

その楽しさをしり、そして同時に黒い感情が身体の中から溢れ埋め尽くしていくのに気付いた。

(ママ・・・？どうしたんだろう・・・)

アレックスと別れ城に帰ってからのセイラの様子を不安そうに見つめるアストリッド
ぼんやりと窓の外の景色を眺めるセイラ

「―――白・・・青い空、緑の草木・・・黄色や桃色の鮮やかな花・・・ここにはない世界・・・ここは・・・ここにあるのは・・・―――白・・・」

その景色は当たり前のように見ていた景色。なにも感じることのない景色のはず

「なのに・・・どうして・・・？白を見ると胸が苦しい・・・痛い・・・」

(ママ・・・きっとそれは寂しい・・・だよ・・・辛くって、苦しくて、さみしい・・・)

娘にはセイラの黒い感情の正体がわかっていた。それはセイラが教えてくれたのだから

「これは・・・きっと私が壊れたからなのね・・・ユーグスタクトが人間に関わっているから・・・」

明日も会おうと約束をした。だけどもう会いたくない
これ以上苦しいのは嫌だ、痛いのは嫌だ

「嫌・・・痛い・・・苦しい・・・・・・」

セイラは人間界に行くことをやめた