第七十七話 アレックス ページ27
景色がまた変わる。
小高い丘の上の花畑の中に座り、暖かな風に白い髪を靡かせ街を見下ろしている。手をそっと伸ばせば小鳥が指に止まってくれる
その表情は無表情ながらもどこか楽しそうだった
「あれ？今日は誰かいるや」
背後から少年の元気な声が聞こえるが自分以外の存在に対し興味もなく、やることもないので今は指に止まってくれる小鳥をそっと撫でる
「ねぇ！お姉さん一人なの？」
「あっ」
急に近づいてきた少年に驚いたのか小鳥は飛んで行ってしまった
それを少し残念そうに見送るセイラ
「ねぇってば！もしかしてこの国の人じゃないの？わぁ！それなら僕、外の国の人を初めて見たたよ！ねぇ、僕に外のお話しを聞かせてよ！」
そう言うと勝手に少年は横に座りキラキラした目でセイラを見つめてきた。
それを横目で見るセイラ。年は１０歳を超えたぐらい、ボロボロの灰色服に、元は綺麗な栗色であろう髪は手入れをしていないのかぼさぼさであちこち跳ねている。とても鮮やかな緑の瞳でこちらを見てくる
「―――人間の子」
「あ、僕ね、アレックス！でもみんな僕の子事をアレクって呼ぶからお姉さんも僕の事はアレクって呼んでよ！お姉さんは？」
「セイラ・ユーグスタクト」
「セイラ・ユーグスタクト？じゃあセイラはセイラだね！」
「・・・」
ユーグスタクトの名に何も反応しない少年を少し驚いたように見る。ユーグスタクトといえば子供ですら怯える存在なのに少年は怯えた素振りを全く見せない。それどころか嬉しそうにニコニコ笑っている
「ユーグスタクトを知らないの？」
「セイラは有名な人なの？」
「―――いいえ・・・」
「そっかー。でもびくりしたぁー！だっていつも僕一人なのに今日はセイラがいたんだもん。僕もね、ここはお気に入りの場所なんだ！ここからの眺めは好きだし、だって気持ちいんだもん！」
一人楽し気にしゃべり続ける少年をただ見つめる
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作者名：ストゥアート | 作成日時：2017年6月24日 22時
