第三話 禁句 ページ4
一方化け物と呼ばれた瞬間、アリスは悲しそうにわずかに目を細めたが男はその変化に気がつかなかった。そして男は禁忌を犯してしまった事に気付くことはなかった。たった一言、化け物という言葉でアリスを怒らせてしまったことに
「…るさい」
「ま…待て！」
引き金を引こうとするアリスを男は慌てて止めた。
「何？」
「し…知っているか？ここにはオヤジはいないぜ。とっくに逃げて…いるだろう、よっ!!」
男の言葉に気を取られている一瞬を突いてアリスに向け発砲した
突然のことに驚きながらも慌てて避けたが左腕に弾がかすってしまった
「ッ…」
「あ…当たった!?当たった!!バカだなお前!っかアリスって全然たいしたことねぇーじゃねぇーかっ!!」
アリスに弾が当たったことがよほど嬉しかったのか男は狂ったように笑だした
「…」
男が手に持っている白い煙を出す黒い物体と血が流れる自分の腕を交互に眺める
「…あのさ、今私を狙ったよね?避けてなかったら私は確実に死んでいた。私を撃つとどうなるか、覚悟はできているんだよね?」
「ま…まて!」
だんだん冷めていくアリスの表情と雰囲気の変化、まっすぐと自分に向けられる銃口に男は冷静さを取り戻していった
「待たない。さようなら」
躊躇いなく男を射殺する
「…あーあ、ああいうのって本当馬鹿で面倒くさいなぁ。でも今ので63人目で…あ、あと組長と幹部2人だけだ」
事前に調べておいた人物リストの顔写真と殺してきた人たちを脳内で照らし合わせた。完全記憶能力はこの時に役に立つ
銃口から出る煙を吹き消すと最上階の一番奥の部屋のドアの前にたどり着いた
(ここか…残り3人…)
アリスがドアノブに触れた瞬間。外から車の発進音が聞こえてきた。
こんな真夜中に出かける住人などいない。直感でその音の意味に気づく
「まさかっ！？」
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作者名：ストゥアート | 作成日時：2017年1月11日 22時
