第四十三話 魔女と人間 ページ42
「・・・ねぇステフ。ルネットとは仲がいいの?」
「そうですね、よくお会いするくらいですけどそれがどうかしましたか?」
「・・・そう」
部屋に戻りステファニーが用意したクッキーを不機嫌そうに頬張るアストリッド
「そういえばギルは?」
あたりをきょろきょろしていつもはいるはずの青年の姿を探す
しかし今日は見当たらない
「ギルバードなら一日中会議で縛られています。御用がおありで?」
「別に。姿が見えないから気になっただけよ」
弄る楽しみが減ったと小さなため息をつきながら紅茶を飲む
クッキーを食べ乾燥した喉は蜂蜜入りの甘い紅茶で潤う
「そうですか。ところでアリスさんはルネット様とはどこかでお会いしたことがあるのですか?ルネット様にお会いしてからというもののアリスさんの機嫌が優れているようには見えなくて・・・」
「あ、ごめん。気分悪くした?」
「いいえ。なにかお力になれるようでしたらお話はお聞きしますよ?」
「ん、大丈夫よ。あのね、魔女と人間は、やっぱり相性が悪いからどうしても険悪になってしまいがちなの。それがたまたま私とあのルネットって男だっただけ。それに魔女の中には人間嫌いもいるし、人間の中にも魔女の事を怖がって嫌う人もいるんでしょう?」
「えぇ。残念ながら未だ魔女を恐れ差別するものもいます」
「種族が違うだけで殺し合いも起きてしまうこともまだあるからねぇ」
面倒ごとが増えるから困るんだよねと付け加える
「そういえばユーグスタクトの魔女というのは他の魔女の中でも権限が強いんですよね?」
「んー・・・権限が強いというよりもユーグスタクトは他の魔女たちを統べる一族なんだよ。だから私が命令をすれば魔女は言うこと聞くよ。でもだからといって人間と仲良くして、なんてことは私からはいえないよ」
「あら、どうしてですか?」
「長い歴史の間で、私達魔女は人間にされてきたことを忘れない。魔女の誇りを奪い、穢し、壊してきた人間を魔女たちは絶対に許さない」
アストリッドの真紅の瞳がすっと細くなる
「魔女は人間のためにその力を教えた。なのに、人間はその力を悪用して魔女の居場所を奪った。私は魔女を統べるユーグスタクトだから人間を許せとも、攻撃しろとも命令は出来る。でも私はしない。これはユーグスタクトだけで決めていい問題じゃない」
アストリッドの言葉を聞きカップを置き両手を膝に乗せしっかりと真紅の瞳を見返すステファニー
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ストゥアート(プロフ) - 昔少女さん» コメントありがとうございます。更新頻度は遅いですが、楽しんでいただければ幸いです。これからもよろしくお願いします。 (2017年10月22日 14時) (レス) id: df3bdd8f8f (このIDを非表示/違反報告)
昔少女 - あなたの生み出す想像の世界を私も漂っています。 (2017年9月17日 15時) (レス) id: f6820b1fd8 (このIDを非表示/違反報告)
ストゥアート(プロフ) - エリザさん» ありがとうございます。今週は期末試験期間なのでほとんど更新ができませんがこれからもよろしくお願いします。 (2016年7月25日 20時) (レス) id: df3bdd8f8f (このIDを非表示/違反報告)
エリザ - 更新まっています(^_^)/~ (2016年7月25日 11時) (レス) id: fa956406d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ストゥアート | 作成日時:2016年7月4日 21時