病んでた。【d!】

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「あれ、A寝てもうた。やっぱかわええなぁA」

右利きのAは左手首に傷をつけた。鋏を開いて、4本？けっこういったなぁ。深いし。
Aとお揃いの鋏を手に取り、同じ角度くらいに開く。

「Aっ…」

同じ向きに、同じ場所に、同じ深さで、同じ時間で。
Aとお揃いであることが絶対条件。練習無しの一発勝負。やってAも練習なんてしとらんし。
1本引く度に血がぷっくりと膜を貼り、腕を伝った。

「A…A…」

好きやでA。俺のことが好きで好きで好きで堪らんAを愛しとる。
綺麗に同じ場所にできた傷を見て惚れ惚れとする。Aとお揃いなのが嬉しい。

Aの好きな色は黄緑。俺も黄緑。
Aの筆箱は上が開く奴。やから俺も上が開く奴。
形、色、大きさ。全てが同じ物。Aと俺はお揃い。
髪型はAがカッコいいって言うてくれたから変えとらんけど。他の変えとらんとこも同じ。
性別も、制服も、住んどる場所も。Aを構成するもの全部。親同じは流石に嫌ややなぁ。結婚できへんし。

「…ちょっとクラクラしてきた。ふへ、一緒やな」

Aとお揃いのベッドに寝て一緒になりたいが、それだと寝起きのAが見られない。

「お揃いってええなぁ。いっしょ、ずっと一緒やで」

Aがたすけて、と呟く。
ゆっくりと、口角が上がっていくのを自覚する。
Aは助けて欲しいんや。じゃあ俺の出番やな。
真夜中、俺は包丁を持った。

・→←何も知らないで‥rk

ラッキーカラー

あずきいろ

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