【男主】先生の師【五条悟】

試験 ページ4

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『学力テストしま〜す』


未だ眠気の沼に落ちてしまいそうな悟の前にAはずいと何かを差し出した。はい、と小冊子が五冊。おい、英語は中学生が見栄を張るためのものだから、小学生は対象外なんだよ。そう、悟が言おうとしたとき、目に入った“総合”の字。総合？ホームルームはテストには出ないんだよ。学習指導要領を…捲ると広がる、なぞなぞの類の数々。ほかに面倒そうな規則性の問題、暗号などなど。

「なんだよ、これ」

悟が不満の旨を口に出せば、当然のように、テストですよと先程彼が口にした内容を復唱した。

『結構頑張って作ったんで、満点取ってくださいね』

取れるようにも作ったので。もはや見慣れた笑顔を貼り付けられている。

「は、おい待て」

『何です？』

にっこり、黒のハットの陰から覗く二色の瞳が死んでいる。早くしろと言わんばかりの無言の圧力。何故だか、逆らう気力を失わせるへらへらとした笑顔。

『一教科50分に休み時間10分ずつで5時間後。戻ってきますから、よろしく』

じゃあ、そゆことで。


待て、と言いかけて開いた口と空虚を掴んだてのひら、ふたつをぎゅっと握って仕方なく座る。何故か休み時間が設定されているところが、無駄に親切だなと思った。


手書きだった。そういえば、彼の字を見るのは初めてであることに気づく。整ってはいるけれど、癖のある字だった。読めないことは全くないけれど、どうにも捻くれた人間性が表れている気しかしないが。


仕方ねぇな、とページを捲って解き進めていく。回答用紙の欄の数から察するに、問題量が半端ではない。これはまずいかもなと、鉛筆を動かす手を早めた。いつのまにか、眠気も消え去っていた。


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