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酩酊 ページ14

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「やってらんねぇ…」


縁側に足を投げ出して座る。ちうちう吸っていたオレンジジュースが波打つ。


『悟はよく応対できていましたよ、僕だったら途中でキレそうです』

「師って意外と短気?」『さぁ、それはどうでしょうね』「誤魔化すなって」


誤魔化してなんかいませんよ、と何時もの笑顔でAは言った。それから、彼は悟にことわって、隣に座った。

皆々、親戚と言えどもということで、今日はきちりとした服装をしている。それは彼も例外ではなく、いつもの古めかしいお洒落はなりを潜めて、現代風のスーツを着ていた。普段が、あまりに浮世離れしているからか。

「師のいつもの服って、趣味?」『…お気に召しませんか?』「質問に質問で返すなよ、」


一拍、間が置かれた。


『僕の、母親の趣味ですよ』


母?と聞き返すと、彼はええ、と頷いた。


『薬袋の方の、ね』


ひとさじほどの、悲哀の滲んだ表情だった。少しだけの苦しさを紛らわせるように、絞り出したような。なんだか聞いた方もいたたまれなくなって、「すげえ顔、さっきの女が泣いちゃうな」と気を紛らわすためのからかい文句を口にする。

『さっきの?』

ぽかんとした顔で、彼は聞こえたままを口にした。わかりません教えろ、と言わんばかりの。

「さっき、話しかけられてた?だろ。あの女、ぜってー師のことそういう目で見てるって」

『行為を含んで、という?』「うん」『は、は。まさか』「まさかのまさかに決まってんだろ」

はて。そうでしょうかね、と惚けたような、躱されたような。のらりくらり、核心をついたと思った言葉は意外と肩透かしを食らう。

『あのね。僕をそんなにたいそうな人間だと思ってるの、君くらいですよ』

下弦の月が、皿のような月の光がさす夜。頬を撫でた夜風がふわりと、彼の彼の髪を揺らした_____逆光、肩口に差し込んだいちぶの光。先ほどの、寂寥とした雰囲気がいっそう冷たく感じられる。



『溢れた子はね、はずれくじを引くことになるんですよ』


「おまえはどっちだったの」


『僕?』


まぁ、負け組ですよねぇ。ぎゃはは、とクソほど品のない笑い方だった。綺麗な顔が鈍く、歪むものだから、逆にそれがおかしい気がして悟もつられ笑った。冷たい笑いだった。


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月山(プロフ) - むさん» ありがとうございます。私もそこはとても気に入っていたので、そう言っていただけて嬉しい限りです。 (2021年2月3日 23時) (レス) id: 5e5e087cf0 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 5ページの最後が天才すぎます。。。もう滅茶苦茶好きです。応援してます…! (2021年2月3日 15時) (レス) id: 0d837f5408 (このIDを非表示/違反報告)
月山(プロフ) - 腐ぉーちゅんさん» ありがとうございます。更新が遅くなってしまい申し訳無いです。楽しんでいただければ幸いです。 (2021年1月30日 23時) (レス) id: 5e5e087cf0 (このIDを非表示/違反報告)
腐ぉーちゅん - 初めまして。次が楽しみで仕方ないです(((o(*゚▽゚*)o)))更新お待ちしておりますm(_ _)m (2021年1月26日 20時) (レス) id: 6ffd1602df (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - Noahさん» 勿体ないお言葉をありがとうございます。ご期待の添えるよう頑張りたいです。 (2021年1月12日 19時) (レス) id: 5e5e087cf0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月山 | 作成日時:2021年1月11日 9時

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