【男主】先生の師【五条悟】

解答 ページ12

.




『ほんとに、君は見た目より真面目ですよね』

「ちょ、今いいとこだから黙れ」


頬杖をついて、真面目に課題を解く悟をAはたいそう楽しそうに見つめていた。中学内容をすらすら解いていくさまに、Aは、きっと彼はちゃんと予習をしてきたんだろうな、なんて内心微笑んでいた。

『あ、そこね。原点を通る___』

「平行な線を一本いれる、だろ」


二本交わった線とx軸とy軸。その4本の中の三角形と等しい面積の____等積変形を、なんて言うまでもなく、彼は当然のように線を一本付け足した。底辺と高さが等しければ、三角形の面積は等しい。そういえば、高校受験の時にやったなぁ、と教える側の怠惰が滲み出るようなことを思い浮かべる。

『出ました？答え』


「_______________」


真剣な顔つき。空気がぴんと張りつめる、少しでも数字が違えば終わりだ。正か誤か。確か、公表されていた正答率は一桁代。ぐっと、握りしめたえんぴつが手の中で滑って____









『はい、あってますよ』



「あーーーーー終わった！！！、」


そのまま、姿勢良く座布団に座っていた悟は畳に寝転がった。よほど、気をつめていたのか。Aや他人にとってはただの一問でも、彼にとっては重要な一問なのだ。高校受験をするでもないのに。そう、目的を求めてしまうのが違いだろうか。


『お疲れ様です。今日はもうお開きにしましょうか』

「そうしようぜ、疲れた疲れた」


…ふと、手が止まる。訊いてもいいものか、と思ったけれど。


『あの、悟。お尋ねしたいことが』





.

光線→←破綻

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す