第17話 ページ19
喜八郎side
たくさんの落とし穴を掘っていると、鐘が鳴ったのでハッとすれば、辺りは既に暗くなっていた。
僕としたことが、夢中になって食堂の時間まで気が付かなかった……食堂に向かお。
そう思って歩き出すと、いたた……という声が聞こえた。
覗き込めば噂の事務員さんでは無いか、なぜこんなところに……?と思いながらも手を差し伸べる。
すると、手を握ってくれたので引き上げるようにする。
思いのほか軽く、少し力を込めて引き上げるだけですぐに上がれた。軽すぎて心配になるレベル。
細くて綺麗な指だな……と僕らしくないことを考えてしまった。
引き上げた際に、腕に包帯が巻かれていることに不思議を覚えたが、あまり深くは追求しないようにしておいた。
食堂に行きたかったらしく、僕もお腹が減ったので、共に向かおうと提案すればあっさり承諾してくれた。
その素直さに少し心配を覚えるも、まぁ、僕がいるから大丈夫か。
彼女が微笑んだ時、何かが胸を大きく叩くような感覚がした。まるで、穴を掘った時の完成図を見て、胸が高鳴る気持ちに似ていたが、どこか違う。だけどひとつ分かったことがある。
彼女ともっと一緒にいれないだろうか。そう思ってしまった自分がいたという事。
つまり僕はAと言う人に恋をした。
その事実確認をするために、言い訳をつけて彼女の頬を撫でる。柔らかくサラッとした優しい温もりが指を伝う。
それと同時に鼓動がドンドンと早くなって、Aが目を瞑ればおそらく接吻してしまっていただろう。
そう思いつつ、理由をつけて握ることが出来た手を握ったまま歩き出す。しばらくすると彼女が口を開いた。
『あの、お礼がしたいんだけど……喜八郎くんは何がいい?』
その質問に少し拍子抜けしつつ、お礼か……何がいいかな〜と考える。正直彼女がそばにいてくれるなら、どんなことも悪くない。
喜八郎「なら、今度のお休みに一緒にお団子を食べに行こうよ。僕いい店知ってるんだァ」
そういうと、彼女は少し驚きつつも優しく微笑んで頷いてくれた。
『いいよ、休みの日が分かったらすぐに伝えに行くね』
そう言われて、その場でスキップしたくなるほど嬉しかった。彼女を独占できるいい機会ができた。これで少しは意識してもらえるだろうか。
そう思いつつも歩いていくと、食堂前の廊下で食満先輩が誰かを待っている様子だった。
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スイちゃんのご友人のご友人 - ドゾッ【輸血】三c⌒っ.ω.)っ シューッ (2023年2月2日 1時) (レス) @page8 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんの姉貴的存在のご友人 - 最高(^^ω)輸血パックをください、、、、、 (2023年1月20日 22時) (レス) @page50 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
Spring(プロフ) - 雅さん>>素敵なコメントありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです!綾部くんと食満先輩かっこいいですよね……!☺️❤これからも沢山出していきたいと考えていますのでどうぞこの作品をよろしくお願いします☺️ (2022年9月1日 21時) (レス) @page40 id: bb9c13b2cc (このIDを非表示/違反報告)
雅 - 私の推しキャラは、綾部喜八郎君と食満留三郎先輩ですね…😅💓他の上級生のキャラも良い☺️✨👍いちばんの中では、綾部喜八郎君ですね…😭(泣き恥) (2022年9月1日 20時) (レス) id: 3a6985dc21 (このIDを非表示/違反報告)
雅 - コメント失礼します。Springさんが作成した忍たまの小説、読んだら面白くて、見入ってしまいました(笑)続きが気になるぐらい😅 (2022年9月1日 20時) (レス) @page17 id: 3a6985dc21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Spring | 作成日時:2022年8月30日 5時