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爆豪side
あいつが中に入ってからもう10分も経っている。
なのにそこから出てこねぇって事はなんらかのトラブルに巻き込まれてんだろ。
「次。そこの建物」
「えっ？！」
切島やアホ面にそう声をかけると、アホ面は文句を垂れながらも着いてきた。
中に絶対Aがいる。割となんでもできるあいつが足止めてるって事は相当なもんだ。
「なぁ爆豪ー、本当にこの辺残ってるの？」
「チャージズマ！烈怒頼雄斗！勝己！！」
アホ面の声が聞こえたのか、Aが俺らのことをヒーロー名で呼び始めた。
ここは一応ヒーローとして駆り出されている場面。
本名で呼ぶよりは的確だ。
「っ、エイルか！どこにいるんだ！」
「その瓦礫を挟んで向かいにいる。要救助者は一人。怪我はほぼ完全に治した！」
“治した”
この言葉がこれ程頼もしいなんて本人は思ってもねぇんだろうな。
「瓦礫との距離は約5m！必要ならもっととる！」
瓦礫が今、柱となって建物が成立してる。
なるほど、出れねぇわけだ。
つまり俺は人一人が通れるくらいの穴をあけりゃいいわけだな。
相手との距離は約5m。そんだけありゃ十分だよ。
「いや、十分だ！！」
おれは一言そう言うと、瓦礫の壁に穴を開けた。
「ありがとう、助かった」
「…なんもしてねぇ」
「はいはい」
Aは笑って俺の隣に立つ。
「エイル、俺がこの人と救護室に行くからお前は休め」
「…ありがとう、そうする」
実はキツかったのか、Aはそう言うと、ふわりと微笑んだ。
そしてHUCと俺らがその建物を出た瞬間、仮免試験終了のベルが鳴り響いた。
「え、今って…俺らじゃん！！」
「終わっ…た…」
「えっ、おい、ちょっ、志賀？！」
Aは実はもうキャパなんて軽く過ぎていたのだろう。
立っていられたのは、その気力だけで。
「結果は…寮で聞く…」
そのまま崩れ落ちるAを抱えて俺は先生の所まで歩いた。
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