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「あ、焦凍来た。お疲れ」
「…やっぱりトップはお前か」
50名ほど通過した後、焦凍がコツコツと歩いてきてるのが見えた。
「だってみんなわざわざ遠くから狙ってくれたから。がちがちに固めた」
「…そうか」
ちょっと温かい目を向けてくる焦凍。
その目には確かに私への好意が浮かんでいて、わかっているけど戸惑ってしまう。
「それにしても、他が遅いな。」
「やっぱり個性ばれってなかなかハードなハンデだよね」
焦凍が“確かにな”とつぶやいた。
いくら情報と違うことをやったとしても、ベースの情報は知られてる。
「…あ、百に梅雨、響香に目蔵も。おめでとう」
「A速すぎなんだよ…。トップ通過なんて聞いてないよ…」
「スピード問われちゃったから。つい」
「“つい”じゃなくて…！」
そう声を上げる響香の耳をよく見ると血が出ていた。
「怪我したの？」
「…あ〜これは」
別に特別聞かなくてもいいから、私は響香の耳をさっと触ってそれを治した。
だってその傷は勲章の傷だし。
「A組全員クリアいけるかな…」
「クリアできなかったら、まぁあの人が絡んでくるだろうね」
私の“あの人”に全員が心当たりがあるのか苦笑いを浮かべた。
控え室のモニターにはみんなの勇姿が映っていて、思わずそれに見入ってしまう。
…あと10人に対してA組は9人。
全員は無理かもしれないと思わず唇を噛み締める。
そんな時、モニターに1本の青い光が映った。
「…っ、狼煙だ！！」
これは多分、優雅が天哉を助けるためにやったこと。
だけど、ただの狼煙じゃないこれは敵だけじゃなくて味方へのアピールにもなる。
「雄英は多対1を防がなきゃいけない…そういう意味でこれは完璧な作戦…！！」
バラバラになった皆をまとめるのに1番有効な視覚利用。
彼がそこまで考えたのかどうかは定かじゃない。だけど彼の行動は間違いなくこの場での最適解だった。
「複数人集めて相手を断つ。完璧」
「…あぁ、これならきっと」
100人目がおそらく天哉で、1次試験は幕を閉じた。
「…っ、A組全員突破！！信じられん！！」
お茶子の言葉に私は思わず彼女に“やったね”と言ってから思い切り笑った。
私の第一の目標はクリア。あとは2個目の試験も突破するしかない。
「頑張ろうね」
「！うん！！」
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