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12話『隠した涙』(中) ページ46

リツ「僕が買い物行ってる最中に……自"殺…して…」

リト「え、それは…本当…なの…?」

確かに玄関を開ければすぐ布団の中で横たわっている母親の姿が見えるはずなのに姿も布団すらもない。

リト「いや…そんなはずないよ…お母さんが自"殺だなんて…そんなの…嫌だ…」

リツ「…村の人達で墓を作ってもう埋めてしまったけど…」

思いがけず、リトは弟の頬を叩く。

リツ「っ…!」

リト「…なんで僕に早く言わなかった!!」

リツ「だ、だって!言ってしまえばリト兄絶対悲しくなってここに絶対来るでしょ!?お母さん、何故かリト兄のことは自分から距離を離しておきたかったらしくて…」

リト「離しておきたかった??どういうこと…?」

リツ「リト兄がいない時は必ず「近づいて来ちゃダメ」ってずっと言ってたから…だから僕もリト兄への連絡は最小限にした。」

リト「でも、緊急事態だろ!?なんでこんな大きな事を…!」

リツ「……言えなかった…」

リト「…っ」

リト達の中にただ沈黙が流れた。

リツ「ただ、お母さんの腹が真っ黒に染まってた…」

リト「真っ黒…?」

リツ「凄く怖くて触れなかったけど、お母さんのお腹から出てきたものじゃないみたいで…」

リト「待って、リツ…

それは自"殺じゃないんじゃ…?」

リツ「えっ?」

リト「……自"殺とも他"殺とも確信はつけられないけど、お母さんに"目"がなかった理由と関係があるかもしれない。」

リツ「それをどうやって関連付けたの…?」

リト「…昔、鮮明に覚えてる記憶があって…


お母さんには僕と同じ『エメラルド色の目があった』んだ」

リツ「なんで分かるの…!?」

リト「写真を見たんだ…まだ生まれたばかりの僕が写ってた。リツはまだ生まれてなかったんだと思うけど、目が"あった"お母さんとおばあちゃん、そして『お父さん』がいた写真が」

リツ「そんな…じゃあリト兄が生まれた少しの間はお父さんがここにいたってこと…?」

リト「…うん、そういうことになるね」

リツ「…僕の目はお父さん譲りだって聞いたけど、写真に写ってたお父さんは僕と同じ黒目だったの?」

リト「そこまで覚えてない…でもおかしいよね…?
ここの村の人、みんな「エメラルド色だった」のに…なんでリツだけ……」

リツ「わかんないよ…」

リト「物心ついてなかった時に、僕らの家族に何かあったみたいだな…自分で探してみるよ」

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作者名:こっこ@amuse | 作成日時:2019年6月17日 7時

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