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そして更に悪辣なことをやってきた〈ブリガンティア〉達だが、だからこそその命令には一瞬の躊躇が生まれる。
そもそも〈ブリガンティア〉達は無法者の集団なのだ。
しかし、無法者と云うが、真実の無法では、集団は形作れない。
完全な無秩序は、コミュニティの存続そのものを無効化してしまうからだ。
無法者には無法なりの秩序があり、その秩序とは、極論すれば力。
暴力である。
〈ブリガンティア〉という無法者の集団は、力によって統治されていたのだ。
そのリーダーであるデミクァスが、一対一の決闘において、自慢の攻撃力を封じ込まれ、回避力を削られて、普段バカにしている「女子供の武器」の代表格であるレイピアなどに、良いように切り刻まれている。
そして切り刻まれている現実に対して、どこからどう見ても救援要請であるような怒鳴り声で、包囲殲滅を命令してきている。
“本当にこのリーダーの命令に従っても良いのか?
こんなリーダーに従っていたら、自分たちもいずれは負け組になってしまうのではないか?”
そんな思いがさしもの〈ブリガンティア〉達、無法者でさえも躊躇させたのだ。
これで躊躇って。
不安になって。
疑心暗鬼で固まってくれれば。
私達にとってはその方がラッキーだ。
★☆★
2018.02.08
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作者名:豆乳ココア | 作成日時:2018年1月30日 0時