Sono un gatto...2 ページ2
私はあの青年が置いていったタオルなるものに身を包み、凍える体は多少の暖を取った。
そして傘なるもので雨なるものを防ぎ、これ以上冷えることはなかった。
あの青年は何と言うのだろう。
今までの人間とは違う。
優しい手だった。
私は安堵から、極度の空腹に襲われた。
ああ、先程の青年が置いていった食料があるではないか。
あの青年ならきっと毒はない筈だ。
ならばそれを食そう。
毒はないか一応確認して、かぶりついてみた。
人間は自由勝手だ。
弱いものをいじめたがるくせに、こんなに美味なものを毎日食しているのか。
ああ、ずるい。
自由で勝手過ぎる。
急に妬ましく思ってしまって私は食すのを止め、丸まって眠りにつくことにした。
あの青年だってどうせ気まぐれだ。
私に暖を取らせてくれたのも、食べ物を与えてくれたのも、優しくしてくれたのも。
人間とはそういう生き物ではないか。
何度も見てきたことではないか。
だのに、私はあの青年を信じてみたい。
裏切られるのは目に見えているのに。
馬鹿馬鹿しい。
賭けをしてみようではないか。
あの青年が帰ってくるか、来ないか。
あの青年が帰ってこなければのたれ死ぬだけだ。
それだけだ。
私が死のうが生きようが、存在価値のない私は悲しむものなど居ない。
寧ろ居ない方がいいのかも知れない。
タオルなる布からはあの青年の香りが鼻腔をくすぐった。
優しく暖かい香りだ。
あの青年の瞳が気になる。
何故あの様に、冷たく寂しそうな目をしていたのだろう。
あれ……可笑しいな。
私はそこで、今まで痛くて寒くて重くて仕方無かった体が何も感じない事に気付いた。
ああ…
誰か助けて…
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神楽 - 一度吾輩は猫である読んでみようかな…マロンが最後まで幸せでよかった 猫にしてはかなり長生きだと思う (2021年5月4日 17時) (レス) id: c22e140557 (このIDを非表示/違反報告)
一匹狼 - あのね、一言イイかな?……………………………泣いたわ←ややこしい!!!あと間が長げェよ!!! (2017年8月11日 0時) (レス) id: 0ae5f44b77 (このIDを非表示/違反報告)
木戸藍楽(プロフ) - 茉苗さん» 読んでくださりありがとうございました!これからも頑張ります!! (2017年3月29日 7時) (レス) id: b372988733 (このIDを非表示/違反報告)
茉苗 - 感動しました!これからも頑張ってください(о´∀`о) (2017年3月28日 15時) (レス) id: 186b0916c8 (このIDを非表示/違反報告)
木戸藍楽(プロフ) - 花怜さん» コメ返しが遅れてすみません! 読んでくださりありがとうございました! (2017年3月14日 10時) (レス) id: b372988733 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木戸藍楽 | 作成日時:2016年11月26日 0時