62 出来ない隠し事 ページ12
「あ、朔間先輩!そうだそうだ!この子、朔間先輩の妹だ!いや〜久しぶりだね!あれ、俺と喋ったことある?」
騒がしい人だ。この人の周りだけ明るく感じる。
『いえ、直接話すのはこれが初めてだと…』
「あれ〜?そっか!」
思い出してスッキリしたのかニコッと笑い、握手をしてきた。
「2人は帰りかえ?」
「はい、スバルくんに近くまで送ってもらってるんです」
この2人は恋人なのだろうか。
「そうそう…明星くん、あんずの嬢ちゃん、夜道は気をつけるんじゃよ」
「「え?」」
よく分からない零兄の言葉に先輩2人は声を揃えてそう言った。
「どういうこと?朔間先輩」
「くくく、そのままの意味じゃよ。そうじゃの、特に…」
『…零兄』
あんず先輩が怖がってるでしょ、やめてあげて。さっきの零兄の言い方、冗談に聞こえたけど多分…
「A、睨まないでおくれ?それじゃあの、明星くんとあんずの嬢ちゃん」
「はい」
「ばいばーい!」
ペコッと軽くお辞儀をする。歩き始めてもずっと手を振ってくる明星先輩…元気だ。
2人が見えなくなると零兄と二人きりになった。
零兄は2人が帰った方向をじっと見つめている。その目はどこか羨ましそうな…そんな感じの目に見えた。
『零兄、家…入ろ』
「青春じゃの」
『え?』
いやいや、青春って…。
『ねぇ、明星先輩とあんず先輩って付き合ってるの?』
思い切って聞いてみる。
「ん?付き合っておらんじゃろよ、あの二人の関係はアイドルとプロデューサーじゃ」
『へー…』
零兄がいうなら本当なのだろう。アイドルとプロデューサーの関係…。ということは仕事仲間か。
「もちろんクラスメイトでもあるぞ?」
『ふーん…』
「Aから聞いてきたのに興味無さそうじゃの?」
『そんなことないよ』
そう言うと私は零兄を置いて家に戻ることにした。そっかー、付き合ってないのか…じゃあ、あんず先輩は無理か。
「A」
『…なに?』
家に入ろうとすると零兄に呼び止められた。なんだろうか。
「我輩でよければ相談に乗るぞ」
『御遠慮します』
そう言い、勢いよく扉を閉めた。
あの人に隠し事が出来ない。全てお見通しだ。恐ろしい…。
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ミラ - 更新頑張ってください! (2020年2月23日 2時) (レス) id: b8fc8df598 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんごあめ | 作成日時:2018年9月12日 19時