28 三奇人 ページ28
「あれ?Aじゃないですか。ひさしぶりですね〜♪けどここは『あいどるか』ですよ?」
入ってきたのは3年の深海奏汰。ぐったりしている零兄をお姫様抱っこしていた。うわ、力持ち…。
『久しぶり、
「そうなんですね〜」
そう言うと奏兄は零兄をベッドにほおり投げた。扱いが雑だ。
「なんだなんだ、賑やかだな」
奏兄の後に入ってきたのは佐賀美先生だった。
「む、佐賀美先生。どこに行ってたんだ。探したぞ」
「ん?氷鷹か、どうしたんだ?」
「プリントを渡しに来た。手渡しじゃないとダメらしい」
プリントを渡すために先生を探すなんて真面目だ。私だったら先生が来るまで教室で待ってるな。
「それじゃあ俺はこれで。失礼しました」
そう言うと氷鷹先輩が保健室を出ていった。
…今ここにいるのは佐賀美先生、零兄、渉兄、奏兄、私の5人。なんかすごく濃いメンツ…。
「それで?お前ら2人は何してるんだ?サボりか〜?」
「いえいえ!零を運びに来ただけですよ☆」
「ほとんどぼくがはこびましたけどね〜?」
「おやおや、そうでしたね!」
賑やかだ。
「まぁあいつは寝てりゃ治るだろ。A、お前の方は大丈夫かー?」
『はい、大丈夫です。ありがとうございます』
あんまり長居すると教室に帰った時に説明が面倒くさくなる。そろそろ帰ろうかな。
「おや?お帰りですか?良ければ私がお送りしますよ!」
『…ううん、大丈夫』
渉兄のことだ。何をしてくるか分からないしここは断っておこう。
「そうですか!それは残念です!ではまたお会いできることを楽しみにしております…☆」
「気をつけて帰れよー」
「またあいましょうね〜」
『はい!…零兄をよろしくお願いします』
そう言い、私は保健室を出た。
…さぁて、どうやって帰ろう。いつもアイドル科に来る時は絶対誰かと一緒。だからついて行くだけでいいし道を覚える必要もない…けど今日は…。
『…』
とりあえず適当に歩いてたら…いつかは着くよね。うん、大丈夫。自分を信じて歩くことにした。
『…わ!?』
「うわっ!す、すいません…!!」
びっくりした。廊下の曲がり角でぶつかった。私は大きくバランスを崩し、その場に尻餅をついた。
「だ、大丈夫ですか…!?」
私に手を差し伸べたのは顔の整った美少年だった。
…王子様?
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冬乃(プロフ) - よっ! (2018年8月30日 18時) (レス) id: db15aabe3a (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - 面白い作品で好きです!あと、12話で英智さんのあだ名がエッちゃんじゃなくてセッちゃんになってますよ? (2018年8月19日 21時) (レス) id: 23ae3ada38 (このIDを非表示/違反報告)
リーリエ - とっても面白いです!続き楽しみにしてます♪ (2018年8月15日 17時) (レス) id: e54f7d496b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんごあめ | 作成日時:2018年8月2日 0時