君色に染めてはくれないか. 【QK】

嘘でもいいから__kwmr. ページ9

( kawamura side. )







「 ……は？ 」



この3秒の間、世界で一番腑抜けな声を出したのは、僕だと、そう言いきれる。






『 河村さん、私の事嘘でもいいので好きって言ってください！ 』



目の前にいる人が、こんな事を言ったのだから。

別に、この人は彼女じゃない。






「 …え、シンプルに嫌なのですが……。 」

『 河村さんに好きって言ってもらえたら、世界は平和になるんです！ 』

「 そんな事で世界が救えたら苦労しませんね。 」





『 お願いします！！ 』

両手を合わせて真剣にお願いをするものだから、少し折れそうになった。






「 いや、僕に好きと言われたところで、Aさんに需要がないと思うんですけど。 」

『 大アリです！ 』


「 …そうですか、はいはい好きですよ。 」

『 適当！！ 』




「 しつこいです。 」





彼女が嫌いというわけではない。

むしろ特別な感情を抱いているからこそ、こんな適当に好きだという言葉を彼女に向けたくないということを、Aさんは絶対に気付かない。




ふとAさんを見ると、『 しゅん… 』という効果音がつきそうな表情を浮かべていた。




『 河村さんは私の事好きじゃないんですか…？ 』

「 そんな事は言ってないです。 」

『 じゃあ、好きって言葉一つくらい言ってくれてもいいじゃないですか！どうせ嘘なんですよ！減るものじゃないじゃないですか！河村さんのバカ！ 』





何故か、流れるように罵倒をされた。

僕、何も悪くなくないか。







彼女が何故ここまで必死になっているのかというと、それは、僕には分からない。

でも、目に涙を溜めて出ていこうとする彼女を放っておく事なんて出来ないということだけは分かった。





『 何ですか、離してくださいよ…。 』


「 本当に、嘘の" 好き "でいいんですか？ 」


『 …それってどういう…… 』









「 私は、嘘なんかではなく、ちゃんとAさんが好きですよ。 」







「 だから、ちゃんと気持ちを伝えたかっただけです。 」









本当にこれで世界は平和になるのだろうか。

世界と言っても、Aさんと僕だけの小さな世界に平和が訪れただけだとは思うけど。








『 河村さん！好きです！！ 』

「 はいはい、さっきの涙は何処へやら。 」

私も愛してね__sgi.→←お揃いの終着点__ymmt.

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