紳士__sgi. ページ1
しまった、やってしまった。
いつも買うお酒と、好きなおつまみ。
それを買う分だけ財布に入れてきた。
でも、どうしても食べたかった新作のシュークリームが目に入っちゃって、お金も足りないのに、何故かレジに持って行ってしまった。
なかなか財布からお金を出そうとしない私を見つめる店員さんと、ただただ戸惑う私。
でもお金が足りないからには買えない。
『 …あ、これやっぱり…… 』
そう言って、目の前にあるシュークリームをやめようとした時だった。
「 ちょっと、何で置いてっちゃうわけ? 」
背の高い、髪の毛がふわふわしたお兄さんが、ニコニコしながら自分が持ってきたお酒を出した。
『 えっ。 』
つい、声を漏らすと、「 いいよいいよ 」って口パクで私にそう伝えた。
彼はサッと支払いを済ませて、ビニール袋には私とお兄さんの分のお酒とおつまみが入っていた。
「 はい、どうぞ。 」
『 …すみません、本当に。 』
「 困ってる人を見つけたら助けたくなっちゃうもので。 」
そう言って笑う彼は、とても紳士だった。
『 あの、またお礼させてください。 』
「 そんなのいいのに。 」
『 いえ、私がしないと気が済まないんです…。 』
「 うーん、じゃあ、またお酒1本買ってよ。 」
『 そんな事でいいんですか…? 』
「 ほら、次会うための口実、的な? 」
その時、『 もっと彼を知りたい 』と、そんな感情が芽生えた。
『 あの、お名前教えていただけませんか? 』
「 俺?須貝駿貴っていいます。 」
『 須貝…さん。 』
「 うん、また会えたらよろしくね。 」
" Aちゃん "
私の名前を呼ぶと共に、私の頭に乗せられた大きな手の温もりがなんだか気恥ずかしくて、その時は気付かなかった。
何故、彼は私の名前を知っていたのか。
でも、それはまだ、先のお話。
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アルコン型(プロフ) - こんばんは!いつも楽しく読ませて頂いています(*^-^*)最高の作品ばかりで何度も読み返しています。厚かましいとは思いますが、リクエストしても大丈夫でしょうか?(´・ω・`) (2019年12月29日 22時) (レス) id: 7d2d99b638 (このIDを非表示/違反報告)
サツラ(プロフ) - Rika1722さん» うわー、嬉しいです( ; ; )素敵な夢が見られるような小説が書けていたら幸いです!! (2019年9月12日 15時) (レス) id: e4eef8aaeb (このIDを非表示/違反報告)
Rika1722(プロフ) - 最高です…。寝る前に読ませていただいています!いい夢が見れる気がして笑 (2019年9月12日 0時) (レス) id: a257df45f5 (このIDを非表示/違反報告)
サツラ(プロフ) - まっちゃさん» 嬉しいです(>_<)ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2019年9月8日 23時) (レス) id: e4eef8aaeb (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ(プロフ) - 短編集も最高ですっ!これからも楽しみにしてます(^^) (2019年9月6日 21時) (レス) id: 6d7b57be72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サツラ | 作成日時:2019年9月5日 22時