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◇
『っ……』
「あー……その、オレもAが……っ、やっぱ今はナシ。……あとでオンボロ寮行くから」
『……ん、待ってる』
スルリと手首を掴んでいた手が解かれる。
何かを言いかけて目を逸らすエースに思わず期待してしまう。
『はああ……言っちゃった……』
教室を出て少し歩くと、力が入らなくなってヘナヘナとその場に座り込んだ。
もう二度と恋はしないと決めたのに。
また恋に落ちてしまった。
エースに想いを告げた。
胸のドキドキが止まらない。
友達だった関係が変わってしまう期待と不安に、暫くの間、立ち上がることができなかった。
◇
私が廊下に座り込んでいる頃。
教室内には、同じように顔を赤く染め、机に突っ伏しながらガッツポーズをしていたエースがいたことを私は知らない。
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作者名：ここ
| 作成日時：2021年8月3日 13時
