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◇
『なん、でここに……』
「約束した場所に来ないから探しにきたんじゃん。……なんで泣いてんの？ 誰かになんかされた？」
『っ……来ないで！』
近付いてこようとするエースから顔を背けて距離を取る。
「なんだよそれ……、心配してんのに。てか最近の態度なに。何で距離取ろうとしてんだよ」
『……』
いつかは告げないといけない。
それなら少しでも早い方がいい、わかってる。
『エース、話があるの』
「…………今のAからは何も聞きたくない」
『エース、聞いて』
「やめろ、聞きたくない」
別れを告げようとしているのが伝わったのかエースは耳を貸さない。
それでも私はあなたに言わないといけない。
『エース……私たち別れ…んんッ』
別れよう
そう告げようとした言葉はエースの唇に塞がれ告げることはできなかった。
荒々しく重なる唇に息がもたない。
『っは…エー…ス、はなし…んッ、ぅ……』
私の話など聞きたくない。
そう言わんばかりにエースは私の言葉を飲み込んでいく。
久しぶりに触れる唇に喜んでしまう私がいる。
深く重なる口付け、強く背中に回る左腕。
頬に添えられた右手が顔を逸らすことすら許さない。
『んっ、は…エース……っ』
「A……」
エースの唇がようやく離され2人の間に透明な糸が伝う。
熱い吐息が漏れ、交わったエースの目に熱が籠っていた。
ごめんなさい
あなたのその気持ちに応えたい
でも、それはできない。
心にない言葉であなたを傷つけてしまうことを許してください
『私たち、別れよう』
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作者名：ここ
| 作成日時：2021年8月3日 13時
