その恋は甘いハート (ページ14)

今日:32 hit、昨日:8 hit、合計:15,823 hit

13 ページ14

◇

いつか離れ離れになる日がくる。

自分の中でそんな日がくることはわかっていた。
わかっていたけど、この幸せな日々を失いたくなくて気付いていないフリをしていた。

けれど、こうして言葉にされ、現実をつきつけられてしまったら……私は、私は…………。

帰りたくない、という気持ちを悟られてはいけない。
何故か私はそう思いながら

『学園長。もし……もしもですよ？帰らなくてもいいなんて思っていたら、私はこの学園にいられますか？』

口を開いていた。

お願い、いつものように明るい声で「構いませんよ」と頷いて。

「その場合は……残念ですが貴方にはこの学園から去ってもらうことになるでしょう。迷い込んだ貴方を元の世界に戻す間、この学園に通うことを許可しているので……こちらに残ると選んだとなると……」

『この学園で保護する必要は……ない、ですか』

「はっきりと言ってしまえばそうなります。貴方の交友関係にあまり口出しはしませんが……深い仲になり、後悔だけはしないように。傷ついてしまうのは貴方ですよ」

『わかり…ました……』

.

.

.

そのあと学園長と何を話したかは覚えていない。

気が付けば私はオンボロ寮まで帰ってきていて、玄関にはエースが立っていた。

▶