▼ 岩泉side ページ6
岩泉「ちょっと、いいか」
俺が声を掛けたのは、Aと同じクラスの花巻。
花巻「岩泉じゃん。なんかあったか?」
岩泉「…A、いるか?」
花巻「……なあ、俺もそのことについてちょっといいか」
俺は、花巻に連れられ、屋上に来た。
いつもなら屋上は立ち入り禁止だが、先生に許可をもらい、鍵を借りた。
花巻「Aの奴、最近、ホントヤバいんだよ」
岩泉「ヤバいって…なにが、」
花巻「……授業中、先生に当てられてもボーッとしてるだけで、目になんも写してねぇし。
喋らなくなるどころか、日に日に目の下の隈、酷くなってくし、…もう俺、見てらんねぇよ」
そう、なった原因は俺たちなんだ。
俺はその言葉をまた喉元で止めてしまった。
それは、花巻がそのまま、言葉を続けたから。
花巻「俺、最近思うんだ。
というか、凛ちゃんが来た時からずっと。
仕事してないのは、Aじゃなくて、凛ちゃんだろうなって。
だって、凛ちゃんの指の爪見てれば分かるけど、ネイルしてんじゃん?」
岩泉「おう。してんな。派手なやつだろ」
花巻「そう!それ。
あれ、どう見てもスポドリ作るのに邪魔だろ?
それに対してAは、手、あかぎればっか。それってあかぎれになるほどなにかしてたってことだろ?」
確かにそうだ。
痛々しい手を、俺は見てられなかった。
絆創膏をあかぎれのところに貼っていて、水が滲みる度に顔を歪めてた。
よく、覚えてる。
寒い冬場でも、どんなに暑い夏場でも、アイツは文句一つ言わず、俺たちを支えてくれていた筈だ。
花巻「俺、凛ちゃんが、"A先輩が仕事してくれないんです"ってスポドリが入ったカゴ持って言った時、凛ちゃんと偶然手が触れたんだよ。
重いだろうから俺、手伝うよってな。
でも、全然、冷たくなかった。
一人であの量をやったって言う割には、手は冷たくもなってなければ、拭いていても、水で手が濡れてなさすぎだった」
分かってた。
アイツがしてきた努力がどれだけのものなのか。
"皆んな、頑張ってるのよ!!!!
いつも朝練には、暑くても寒くても、それでも早く来て、ネット立てて沢山練習出来る様にって!!!
確かに、どんなに努力しても、天才に勝てるかは私だって保証は出来ない、けどっ!!!
努力した分だけ人は報われる!!!!
私はそう、信じてる!!!
それに、皆んながどんなに強い相手でも、勝つことを信じてる!!"
俺たちを最後まで信じ抜いてくれた、アイツに俺は、なにか罪滅ぼしでもいいからなにかを返さなきゃいけない気がしたんだ。
岩泉「……なあ、花巻」
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水無月のぞみ - あのグズさっさといなくなればいいのに! (8月3日 19時) (レス) id: ba8b16685c (このIDを非表示/違反報告)
うさぎりんご - あの!このお話はもう更新しないのですか?失礼を承知なのですが続きがとても気になります…もしよければ続きを書いていただけませんか? (2022年3月24日 18時) (レス) @page8 id: 5a928aef25 (このIDを非表示/違反報告)
(o´・ω・`o)(プロフ) - めっちゃ気になるとこで終わった……続き楽しみだったのに… (2021年5月5日 16時) (レス) id: 1f4799768f (このIDを非表示/違反報告)
ワグマン - 終わってまうんですか、もっとみたいです(* >ω<)応援してます(*^^*) (2020年8月11日 12時) (レス) id: d570b5d827 (このIDを非表示/違反報告)
おかか - え〜!ここで終わり何ですか?続き見たいです!更新頑張ってください!応援してます!! (2020年6月25日 18時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チェスト | 作成日時:2020年1月3日 2時