43. :花巻side ページ43
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窓から入ってくる風が、赤く染まった俺の頬を
覚ましてくれた。
花巻「なーにやってんだ…俺」
いつも保健室の先生が座っている椅子に、生徒に背を向ける様に、座っていた。
こうしてボーッとしてる時、ふと思い出す。
"ねぇ、…花巻"
一年の時、岸川と口喧嘩して、一週間くらい口も聞かなかったっていうのに、何故か俺は、休みや昼休み、いつも何処かへ行ってしまう岸川を追いかけた。
そしたら、アイツ、笑ってた。
ガラス玉の様に透き通った瞳から、とても寂しそうな顔して、空を見上げていた。
"この名言知ってる?"
隣に座ったら、まず、最初の言葉がこれ。
しかも、口喧嘩したことすら、忘れているかの
ようだった。
"人が恋をしはじめた時は、
生きはじめたばかりのときである…ってね"
俺、あの後、なんて言ったんだっけ?
その瞬間、背後からガラッと音がして、
振り返るとそこには、奈緒が居て、俺は思わず、ソイツの名前を零した。
冴島「た、貴大くん…」
花巻「大丈夫か?…その頰」
冴島「あ…う、うん!全然へーき!」
花巻「ここ座れよ。手当てするから」
それから俺は棚から湿布を取り出し、椅子に座ると、奈緒の頰にそれを貼った。
冴島「さっきの、…」
息を呑んだ。
そして、スゥ…と息を吸うと、
冴島「あれは「そのことなんだけどさ」!?」
言葉を遮った。
花巻「正直、良かったって思ってる。
お前の、あの時の告白が嘘で良かったって、もう、これで罪悪感のないまま、別れられる…なんて」
冴島「えっ…」
花巻「今まで、別れなかったのは、お前があの時、必死だったから…だから、お前が俺に対しての気持ちが消えるまで、付き合おうって決めてたから。
あの時、キス、したのだってなにかの嫌がらせかなにかだったんだろうなって、今では思ってる」
もう、これで俺を覆い尽くしてきた罪悪感とも
おさらば出来る。
たとえ、誰かを傷つけたとしても。
人間、結局は自分が可愛いくて、一番なんだ。
自分が傷つきたくないからこうする。
自分が死にたくないからこうする。
それって結局自分が一番ってことであって。
奈緒はいつの間にか、座っていた椅子から
立ち上がっていて
冴島「違うっ!!!
ホントは、ホントはっ!!!」
ホントは、なに?
ってきっと、俺に聞いて欲しいんだと思う。
でも俺はお前が俺にどんな期待をしようとも、もう間違えないって決めたんだ。
決意と拒絶を含んだ、
花巻「……別れよう。」
44.「心情を証明出来るか。否か。」:花巻side→←42. :冴島side
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茉莉朱(プロフ) - 一気読みしました!もう感動してめっちゃ泣いてます笑笑本当にありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ (2020年3月10日 22時) (レス) id: 97829c5418 (このIDを非表示/違反報告)
かん。 - 思わず一気読みしました!!そして今、泣いてしまっています…笑 久しぶりに泣ける作品に出会えました!ありがとうございます(^ ^) (2019年10月20日 23時) (レス) id: c004faa138 (このIDを非表示/違反報告)
COCOLO(プロフ) - え、いや、うん。大好きです(真顔) 一気読みしちゃいました笑笑 更新頑張ってください! (2019年8月14日 3時) (レス) id: 7891f327e3 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - もう、ヤバイっすね。(←語彙力)この作品が好きです!!更新頑張ってくださいネ!!!応援しています (2019年7月31日 17時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
ruru(プロフ) - この作品めっちゃ好きです! いつも更新楽しみにしてます。頑張ってください! (2019年7月29日 17時) (レス) id: 3379e030f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チェスト | 作成日時:2019年7月22日 2時