41.スカビオサ :冴島side ページ41
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教諭「岸川となにがあったんだ」
生徒指導室に連れて行かれた私は、担任と、この学校で一番しつこく口煩い教頭に説教されていた。
教諭「お前ら、仲良かったじゃねぇか」
冴島「悪くはないですよね」
教頭「君ィ、担任に向かってその口の利き方はなんなんだねェ!!」
あーウザい。
15分くらいずっとこのくだりを続けてる内に私の堪忍袋も切れまして…
冴島「なんでもねぇっつてんだろっ!!!」
ブチ切れました。
冴島「これは私とAの問題だっ!!!
教師が茶々入れることじゃないってことだよっ!!!
そんぐらい気遣えやっ!!!」
そう言って、私は生徒指導室を飛び出した。
殴られたとこが痛い。
頭突きされたとこが痛い。
階段を駆け下りると、一階にある保健室に向かった。
走っているから無論息も切れる訳だが、そんなこと気にしてる暇なんてなかった。
走らなきゃ。
走らなきゃ。
誰もいない場所に、いきたい。
ああ、私、なんで保健室に向かってるんだろ。
他に場所なんて沢山あるじゃない。
でも、そんなこと考えられるほど、余裕もなくて、冷静も欠けていた。
貴大くんのこと、好きに決まってるじゃない。
あの時、アンタが近くにいて、思い出して、腹が立って、どうしても私に振り向いてくれない貴大くんのことだって脳裏に過ぎった。
"花巻に謝れッ!!!"
分かってる。
自分がどれだけ最低なことを言ったかなんて。
そんなこと、私が一番、
分かっている。
冴島「っはぁ、はぁ、…」
ガラッと、音を立てて開いたドア。
保健室の中には、
花巻「…奈緒」
貴大くんが椅子に座っていた。
冴島「た、貴大くん…」
花巻「大丈夫か?…その頰」
冴島「あ…う、うん!全然へーき!」
花巻「ここ座れよ。手当てするから」
ドクン。
高鳴った鼓動を無視する様に、言われた通り、私は貴大くんの前にある、黒いパイプ椅子に腰を下ろした。
花巻「ちょっと待ってろ。湿布取ってくる」
そう言った貴大くんは立ち上がり、ベッドの近くにある棚の扉を開けて、中にある湿布を取り出した。
ただ手当てをしてもらうだけなのに、こんなにガチガチに緊張してしまうなんて。
私は血の味がする口の中を変に緊張してしまったせいか、剥がれているであろう皮膚を噛んでしまった。
冴島「い"っ"…」
思わず、声を出してしまった私は、口元を覆った。
花巻「だ、大丈夫か?」
冴島「…へ、へーき!へーき!」
再び、私の前にある椅子に座ると、私の頰に、湿布を丁寧に貼ってくれた。
湿布は少し冷たくて、私の頰に触れた貴大くんの手も、冷たかった。
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茉莉朱(プロフ) - 一気読みしました!もう感動してめっちゃ泣いてます笑笑本当にありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ (2020年3月10日 22時) (レス) id: 97829c5418 (このIDを非表示/違反報告)
かん。 - 思わず一気読みしました!!そして今、泣いてしまっています…笑 久しぶりに泣ける作品に出会えました!ありがとうございます(^ ^) (2019年10月20日 23時) (レス) id: c004faa138 (このIDを非表示/違反報告)
COCOLO(プロフ) - え、いや、うん。大好きです(真顔) 一気読みしちゃいました笑笑 更新頑張ってください! (2019年8月14日 3時) (レス) id: 7891f327e3 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - もう、ヤバイっすね。(←語彙力)この作品が好きです!!更新頑張ってくださいネ!!!応援しています (2019年7月31日 17時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
ruru(プロフ) - この作品めっちゃ好きです! いつも更新楽しみにしてます。頑張ってください! (2019年7月29日 17時) (レス) id: 3379e030f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チェスト | 作成日時:2019年7月22日 2時