さよなら青春、さよなら木兎さん。【赤葦京治】 -完-

さよなら、体育館。 ページ4

＊赤葦side

泣き疲れた。
思い出しては泣いて、泣いて。
それを繰り返しているうちに泣き疲れた。
苦しくて、悲しくて。
でも、木兎さん達３年生が"まだ"居なくなる訳じゃない。
まだ、泣いちゃいけなかったのかもしれない。
それでも溢れてくる感情。
アナタに会えて良かったという感情。

霞む月。
その月を見ていた。
体育館の窓越しから見える月。
この月を俺は何度アナタと見ただろうか。
これからは一人だ。
一人でしかこの月を見ることは出来ない。
一人で見る月は何故か綺麗には見えなかった。
そんなことを感じ始めるんだ。
前にもそんなことがあったから。

これからは一人。
その感情的なものだけが俺を蝕む。
嫌なくらい。
怖いくらい。

俺は持っていた一つのバレーボールを倉庫に片付けると更衣室に向かった。
更衣室は誰もおらず、暗かった。
カーテンを閉められていて、俺がカーテンを開けると少しだけ更衣室に光が差した。
俺は自分の鞄などが入っているロッカーを開け、制服に着替え始める。
着替え終わると更衣室の鍵を閉め、更衣室から出た。

外に出ると雨が降っていた。
さっきまでとはガラリと変わった天気。
さっきまでは快晴だった。
それなのに今は雨。
これから強くなっていきそうなぐらいの勢い。
俺は走って家に帰り始めた。

さよなら、青春。
さよなら、木兎さん。




さよなら、体育館。

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