クピードの弓矢 (ページ14)

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14 -Taiga- ページ14

Aと北斗がデートに選んだのはかなり遠くにある水族館。

電車に乗っている間、北斗はAの仕事について聞きたがった。

「敵情調査みたいな？」
「敵ではないし、いいじゃん」
「今日ちょっと面倒くさい北斗の日？」
「ねえ！！！」

Aはその反応を笑って聞いて、それから視線を落とした。

「色んな人がいるよ。
恋人と別れたから、新しい恋をしたい人。
結婚がしたい人。
愛がほしい人もいる。」

それからちらりと北斗を覗いた。

「親が子供のために相談に来ることもある。」

北斗は、何も知らないような顔をしている。

「恋愛を、トラウマに思う人もいる。」

Aも何も知らないような顔をして言う。

「北斗はさ、結婚願望ある？」

Aの何かを祈るような視線に、北斗は少し戸惑ったように見えた。

「あるよ。子供もほしい。」

Aは「そっか」と笑う。
その裏にある影に北斗はきっと気づかない。

「私も。同じ。」

いびつな2人を遠くから眺める自分の無力さに、そっとこぶしを握った。