紫陽花 2 ページ2
声が、聞こえた。
ずっとずっと探して、見つからなくて。苦しくて泣きそうになって、いっそ死にたいと思っても、何処かで泣いているんじゃないかと思って、俺はいつも探し続けてきた。
俺の、誰よりも大切な妹。
──兄様。
俺を呼んでいるあの子の声は、泣いていた。
「──ちゃん?おーい、げどちゃん?」
近くで聞こえた気の抜ける声に、ハッとした。
廊下の窓を開けていても吹き込んでくる風は生暖かく、夏の本格的な暑さが俺たちを襲ってくる。
そんな廊下でぼおっとしていた俺に、先程の声の持ち主である大ちゃんが俺の顔を覗き込んだ。
ut「なんや、げどちゃんがぼーっとしとるの珍しいやん。熱中症?」
ht「…万年不健康そのものの大ちゃんに言われたくないよ」
ut「ぐうの音もでねぇっすわ」
ケラケラ笑う大ちゃんは、相変わらず目の下に大きな隈を飼っている。いつも通りだなぁ。
さて、俺はさっきまで何をしようとしていたんだったか。…嗚呼そうだった、トントンに書類を届けに行くんだった。俺の手にはトントン宛ての何枚かの書類。今日の俺は随分とガバガバだなぁ。
大ちゃんも俺と同じくトントンに書類を届けに行くようなので、共に連れ立つ。
ゆらゆらと隣を歩く大ちゃんが、眼鏡越しに俺を見た。
ut「で?熱中症でもないのにボーッとしとったのは、結局なんかあったん?」
まぁ、言いたくないんやったらええねんけどね。と肩を竦める大ちゃんに、対した事ではないんだけど、と首を振った。
ut「なら、聞いてもええん?」
ht「本当に対した事じゃないんだけどね」
「…今年も、俺にとって一番綺麗な紫陽花を見ることができなかったなって思っただけ」
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すずねこ - 更新頑張ってくださいね❗ (2022年7月11日 20時) (レス) @page48 id: 5c9b7042cd (このIDを非表示/違反報告)
スノウ(プロフ) - 夜さん» 続きは書きたいです…!ですがリアルが忙しくなかなか更新できないのが悔しいです…!コメントありがとうございます!待っていただければ、いつか、いつかは!!書きますのでお待ちください! (2021年4月5日 23時) (レス) id: 8e20d2cd66 (このIDを非表示/違反報告)
夜 - とても面白くて一気読みしてしまいました!まだ続きは書かれる予定ですか?書いてくださるならいくらでも待つので更新頑張ってください! (2021年2月5日 21時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
スノウ(プロフ) - ウルズさん» コメントありがとうございます!パスワードの件はご迷惑おかけしました…(;´Д`)最初の頃から見ていただきとても嬉しいです! (2020年10月13日 23時) (レス) id: fa99c77dd8 (このIDを非表示/違反報告)
ウルズ - またこちらの作品が読めて嬉しい限りです。連載初期から文が素敵だと思い愛読してました。急に検索しても出てこなくなった事に驚きましたが、パスをかけられていたと知り納得しました。詳しい事情は分かりませんが、これからも頑張って下さい。更新楽しみにしています。 (2020年10月13日 22時) (レス) id: 18e5b459af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スノウ | 作成日時:2019年10月30日 13時