【3L募集企画】スノウドロップに口づけを。

続 ページ3

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　生前に重い罪を犯したが、簡単には裁く事の出来ない理由を抱えていた者たち。

　彼らは人間だった時、盗人だったり、マフィアだったり、殺人犯だったりしたが、そこには完全に悪いとは言えない理由があった。
　“過去にされた事への復讐だった”
　“頼まれたから殺した”
　“そうせざるを得ない状況だった”
　“大切な人を守る為だった”等々。


　処刑や自死などで死後の世界――“死界”に堕ちてもなお、彼らの罪は裁く事が出来なかった。
　天国行きか地獄行きかが決まっていない罪人を自由にさせるわけにもいかず、かと言って一時的に入れておく牢屋もない。
　そうして死界の役人に目をつけられたのが“現世”であった。


　彼らは死神として、普通の亡霊には無い強大な力――“死の力”を与えられ、現世で生きている人間と契約を結ぶ。その後は現世と死界を行き来し、契約者の様子を観察･記録して役人に報告する。
　働き次第では今後の判決が軽くなるかもしれないし、生まれ変われるかもしれない。それが“死神”という存在である。


　死神の姿は様々で、人間の頃と何も変わっていない者、生前からガラリと容姿を変えた者、明らかに動物や人外の姿をした者、契約者に合わせて姿を変える者などがいる。
　基本的には契約者だけに見える存在だが、普通の人間に姿を見せる事も出来る。


　死神になってからの年月もバラバラで、“仕事”の取り組み方や、契約者に対する考え方などにも大きな個人差がある。
　また、生前の記憶を失っている死神もおり、そういう場合は何らかのきっかけで思い出せる可能性がある。


　死界の役人も元人間であり完璧ではないので、中には監視の目をすり抜けて勝手な事をしている死神もいる。誰とも契約していない事にして報告をサボったり、それを良い事に契約者を利用して自分だけが得をしたり。
　最初から契約していない事になっているので“願いを叶えられなかった”という失態もバレず、お咎めを受ける事もない。この手法を繰り返している死神も数名いる。


　普段は死界(天上の世界。薄暗く、陰気で何もない場所)で退屈な日々を過ごし、湖から現世を眺めては、人間たちの生き方を観察している。
　時折その中に気に入った者を見つけて会いに行ったり、ピンチに直面した者を助けに行ったりして、契約者と出逢うケースが多い。中には、生前の知り合いとばったり会ってしまって契約する羽目になった、なんていうケースもある。


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