Story 9 ページ10
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ゴブリンという生き物が務めるグリンゴッツ魔法銀行で沢山のお金を手に入れたハリーとAは学用品をほとんど揃えると最後に杖を買うためにオリバンダーの店に入った。ハグリッドは何か用事があるらしく、どこかへ行っている。
「いつ会えるかと楽しみにしていましたよ。あなた方のお父さんとお母さんがここで最初の杖を買って行ったのがつい昨日のことのようじゃ」
オリバンダー老人はしみじみと呟き、棚から箱を取り出して開ける。
「では、まずは妹さんからにしよう。ハンノキにドラゴンの心臓の琴線、二十三センチ。しなやかでよく曲がる」
受け取ってから促されるまま振ってみると、杖の先から鮮やかな火花が踊るように舞った。
「おお、ぴったりじゃ！ まさか一発で決まるとは……」
Aが感動しながら杖を眺めている間にハリーの杖選びが始まっていたが、振った途端に棚がめちゃくちゃになったり隅に置かれた花瓶が木っ端微塵に砕けたりと、なかなか合う物が見つからないようだった。
ようやく決まった柊に不死鳥の羽を使った杖はオリバンダー老人にも思い入れが強いものだった。同じ不死鳥が提供したある杖がハリーの額に傷を負わせたと彼は言う。
「杖の持ち主は誰ですか？」ハリーが訊くとオリバンダー老人は身震いした。
「その名は口に出せん。杖は持ち主の魔法使いを選ぶ。その理由は定かではないが……だが、間違いなくあなたは何か偉大なことを成し遂げるだろう。ある意味では“名前を言ってはいけないあの人”も偉大なことをした。恐ろしい、だが、偉大なことを」
その時、店のガラスを誰かがノックする音が聞こえた。ハリーとAが振り向くとそこにはハグリッドが立っており、白いフクロウと、白に黒のマダラ模様が入ったフクロウの籠を得意げに掲げてみせた。
「ハリー、A、ハッピーバースデー！」
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作者名：闍弥嵩 李 | 作成日時：2020年1月2日 17時
