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Story 33 ページ34
するとすぐにハリーから目を離さず絶え間なく何かを呟いているスネイプを見つけた。
嘘でしょ……？ スネイプ先生が……待って、落ち着いて。もう少しちゃんと見てから。
他の観客と比べて見た時、Aはあることに気づく。確か呪文をかける時は対象から目を逸らしてはいけないと書いてあった。
観客の中で一時たりともハリーから目を離していないのはスネイプ先生と、もう一人――クィレル先生だけ……。
半ば呆然としながらAは二人の様子を見続けた。呪文を唱え続けるスネイプの後ろでクィレルは普段とは打って変わって鋭い目つきでハリーの動きを追っている。
もしかしたら心配で目を離さないだけかもしれない。待って、でもクィレル先生は無言呪文が得意で……違う違うそんなはずない。仮に呪いをかけてるならスネイプ先生のほうよ。だって常にハリーを目の敵にしているもの。ハリーも言ってた、自分を憎んでるって。クィレル先生じゃない。絶対違う！
「……ありがとう」
我に返ったAが双眼鏡を返してから視線を戻すと、ハリーの箒はそれまでの暴走が嘘のように落ち着きを取り戻していた。
急降下し、箒の上に立って金のスニッチに手を伸ばしたハリーはバランスを崩して地面の上を転がる。立ち上がって口を押さえて咳き込んだかと思えば次の瞬間、スニッチがハリーの手の平に落ちた。
「スニッチを取った！ ハリー・ポッターがスニッチをキャッチ。一五○点獲得！」
リーが叫び、フーチ先生が試合終了の笛を鳴らしてグリフィンドールの勝利を告げる。三寮の大歓声が寒空に広がった。
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作者名：闍弥嵩 李 | 作成日時：2020年1月2日 17時
