Story 3 ページ4
＊
ニシキヘビの時間から数日が経ち、ようやく物置での謹慎を解かれたハリーが郵便受けから手紙をいくつか持ってきた。そのうちの一つを渡されたAが開封しようとした時、ダドリーがひったくった。
「パパ！ ハリーとAが手紙持ってる！」
「返せよ！ 僕たちのだ！」
同じく手紙を取られたハリーが怒って言う。バーノンおじさんは「誰がお前たちに手紙なんか」と馬鹿にしたように笑って手紙を開き……表情を凍らせた。
何て書いてあるのかは分からなかったが手紙はそれからも来ていたようで、とうとうおじさんは郵便受けの扉を開かないように固定してしまった。
だが日曜日になって……
「日曜日はいい日だ。一週間で一番いい日だ。なぜだ、ダドリー？」
「郵便の配達がないから」ダドリーの代わりにハリーが答えた。
「その通りだ、ハリー。日曜日は休み。日曜に郵便は来ないぞ。そうだ！ 今日は手紙なんぞ見ないで済む！ 一通もな！ 今日は間違っても手紙なんか一通も……」
その時、どこからか飛んできた何かがバーノンおじさんの顔に当たった。手紙だった。一通だけではない。何百通もの手紙が暖炉からとめどなく飛び出して部屋を舞った。
パニックになるダーズリー親子をよそにハリーとAは夢中で手紙を掴んだが、すぐにバーノンおじさんに捕まってしまった。
「離して！ 僕の手紙だ！ 離してよ！」
「何で駄目なの！？」
その間にも手紙は次々と部屋に舞い込んでくる。
「もう、たくさんだ！ 家を離れるぞ！ 遠くへ行くんだ！ 見つからないところへ！」
＊
数日後の夜、ハリーとAはダーズリー親子とともに海辺の小屋にいた。どこへ行っても手紙が来るので最終的に人が滅多に寄らない場所に泊まることになったのだった。
三人がすっかり寝静まった頃、Aはそっと囁いた。
「誕生日おめでとう、ハリー」
「誕生日おめでとう、A」小声でハリーも返した。
これからどうなるのかとAは考える。手紙の来ない場所に移って、もうそれで終わり？ もう二度と届くことはないのかしら。そうなったらなんだかすごく残念。
外は相変わらず嵐が吹き荒れ、時折稲光が小屋の中を照らしたりしている。屋根を打ちつける雨音を聞きながら眠りにつこうとしていた時だった。
――大砲のような音が響き、全員が飛び起きた。
誰かがノックしている。強い力で、二度、三度。
そして、轟音とともに扉が破られた。
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作者名：闍弥嵩 李 | 作成日時：2020年1月2日 17時
