選ばれし者とその妹 (ページ19)

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Story 18 ページ19

「ハーマイオニーは分かっていると思います。彼女に質問してみたらどうでしょう？」

　ハリーの言葉に生徒が数人笑い声をあげた。特にグリフィンドール生は『よく言った』と言いたげだった。怖くて言えなかったがAも完全に同意見だったので、はっきり言えるハリーを羨ましく思った。

「手を下ろしなさい」スネイプはハーマイオニーにそう言うと足早にハリーの前に行った。

「教えてやろう、ポッター。アスフォデルとニガヨモギを合わせると眠り薬――つまり先程、Aに質問した『生ける屍の水薬』となる。ベゾアール石はヤギの胃から取り出す石、モンクスフードとウルフスベーンはどちらも同じトリカブトのことだ」

　Aは羽ペンを取り出すとスネイプが言ったことを急いで羊皮紙に書きはじめた。

「さて……諸君、今のを書きとめたらどうだね？」

　そう言われてA以外の他の生徒も慌てて一斉に羊皮紙を取り出して書き取った。その間に先生は教員席に戻り、羽ペンを走らせながら顔を上げずに言い放つ。

「ハリー・ポッター、君の無礼な態度でグリフィンドールは五点減点」

　グリフィンドール生は顔を見合わせ、マルフォイはハリーのほうを振り返ってあからさまに『ざまあみろ』と言うように笑った。

　魔法薬の授業が終わり、どこか気まずい思いで教室を出たAの肩を「よく耐えた」とレイブンクロー生が叩いた。それに曖昧に笑みを返してからAは思う。

　あの目……スネイプ先生はハリーを誰かに重ねている気がするわ。入学した日に先生が見ていたのはグリフィンドールのテーブルに近かったし、私の思い違いかもしれないけど。

　ふと立ち止まってから振り向いた時、こちらを凝視していたスネイプと思いがけず目が合い、Aはその視線から逃れるように走り去った。