アイスクリーム【短篇集】 (ページ1)

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トリセツ#坂本さんページ1

西郷目線

良心が異常に欠如している。

｢はぁ？誰もお前なんかのためにやっとらんわボケェ｣

『五月蝿いな、こっちから願い下げだわ』

私の親友、坂本さんとその彼女、Aさんは実に仲が悪い。出会ったのは大学のセミナーらしいのだが、如何してお互いひねくれたスパゲッティみたいな性格なのにどうして3年も続いているのだろう。喧嘩するほど仲がいいって言うけれど、者によるよなぁ。

慢性的に平然と嘘をつく。

『ねぇ、坂本さん。私の歯ブラシ知らない？？置いてたんだけど』

｢は？知らんし、西郷辺りが食ったんじゃねぇの？｣

『何言ってんのよ気持ち悪い、あーあ、新しいの出そ』

坂本さんは平気で嘘をつく。だって私が歯ブラシ食べるなんて気持ち悪すぎるでしょう。あっ、そこじゃない？？それにきっとAさんの歯ブラシはどこ探してもないでしょうしね。え？なんでって、そりゃあ坂本さんが捨てたからに決まってるじゃあないですか。

自尊心が過剰で自己中心的。

｢おい、ブス。そろそろ出かけんぞ、車回せ｣

『はあ、嫌ですけど。誰がナルシストなんかに車回すか、なんなら西郷さんと買い物行くわ、行こっ西郷さん』

｢えっ、えぇ！｣

坂本さんは自己中心的でいつも私とAさんは振り回されてばかりだろう。半ば無理矢理連れて行かれたが、あの時の坂本さんのお顔はまるで、自尊心過剰な子供が、玩具を取られ悔しがる様な顔をしてさらには睨みつけられていたのは、怖かったので本人にもAさんにも言わないでおく。

口達者で表面は魅力的。

｢はっはぁ～ん？じゃあ君は100歩譲ってこのコーヒーゼリーは食べてないと断定して？そこでずっとガチャガチャゲームしてる西郷さんが犯人だどぉ？そこで可愛くお座りしてるミケが犯人だとぉ？？そう言いたいわけだぁ。っかァ～～～？いいねぇ、お気楽な彼女さんがぁ？やんややんや、これだから女は、女は嫌だわぁ↑(笑)｣

『……ｸﾞｽｯ』

｢あっはぁ～～～～～？！泣けばいいってもん｢……ほんとに最低ね。そういうとこは大っ嫌い｣

たかがコーヒーゼリーでここまで言ってしまう坂本さんはきっと馬鹿なのだろう。せめて女心さえわかってしまえば彼はもっとモテるのだろうなぁ。坂本さんは魅力の欠片もない。